ハーメルン
雛森「シロちゃんに『雛森ィィィィ!』と叫ばせたいだけの人生だった…」
実習ィィィィ!
「──くっ、狡いぞ恋次! 貴様らだけ現世実習など…っ」
「ハッ、こちとら一組サマだぜ? これからてめェとの差をガツンと開けてくっから指でも噛んでろバーカ」
「ご、ごめんねルキアさん。あとでまた授業後に鬼道教えるから…」
準主人公さんの妬みをBGMに、集合場所へ足取り軽く向かう我ら一年一組死神見習い生。
そう、ついにあたしの最重要案件の一つ、あの現世での最初の
魂葬
(
こんそう
)
実習が行われる日がやって来たのだ。原作イベントである。
一応説明しておくと──毎度のヨン様の自演だが──現世で死神活動の実習を行っていた特進一組の一回生たちが
虚
(
ホロウ
)
の集団に襲われ、そこをヨン様と一◯に救われるという展開だ。
作中で雛森ちゃんがヨン様ファンなのはこの出来事の影響が大きく、哀れ騙された彼女にとってこの実習は鬼門と言えよう。
だがあたしにとっては別。普通にヨン様陣営に加わる方針で行く身にとって、これはいわば企業面接なのだ。
このイベントにおけるあたしの目的は周りにバレることなく力を示し、ヨン様に自己PRする事である。
アピールの主力は霊圧と鬼道。霊術院一回生で護廷隊副隊長以上の霊圧を持ち、尚且つそれを隠す必要性を理解している賢い子供なんて絶対に興味を持つだろう。
問題はどうやって周りにバレずにあたしの霊圧を晒すかだが…先に他の院生を
穿界門
(
せんかいもん
)
の中まで避難させるプランAは確定として、言うことを聞かなさそうな恋次や六回生は【衝】などの弱破道で無理矢理門まで弾き飛ばそう。
どさくさに紛れて囮になると言い残し一人だけ場所を移して戦うのもありだ。
そして観察しているであろうヨン様に空気を読んでもらってなんやかんやしてもらうガバガバ他力本願プランもある。高度な柔軟性を以下略。
戦闘力アピールに関しては、鬼道で変幻自在な戦いを演出したい。
破道は密かに志波家で盗み見た【
双蓮蒼火墜
(
そうれんそうかつい
)
】が飛び抜けて最高の切り札。あたしはどうも炎熱系が得意らしく、他は三十番台程度なら詠唱破棄や二重詠唱すら可能だ。
縛道も隠れて【
天挺空羅
(
てんていくうら
)
】を詠唱出来るよう死ぬ気で頑張った。これは色々と応用が出来るのでぜひとも使ってみたい。残念ながら【
六杖光牢
(
りくじょうこうろう
)
】の詠唱破棄は間に合わなかったが、
巨大虚
(
ヒュージ・ホロウ
)
程度なら中級縛道と霊力ごり押しで十分なので万が一の場合も死にはしないだろうと楽観視している。
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