第六話
次の日。ドラクエの世界に転移してから3日目の朝。
アキラは顔を洗って、朝食を食べたあと、部屋に戻って支度をする。
ぬののふくを着て、どうのつるぎを腰に差す。
「それにしても……やっぱり違和感あるな」
ぬののふくとは一般の町民や農民が来ていてもおかしくない簡素な服なのに、ショートソードよりすこし短いサイズとはいえ、どうのつるぎが腰に差してあるのはとても違和感があった。
それでも初期装備としての攻撃力は破格のため、お金が貯まるまでは我慢しようと思いながら宿の外に出る。
そしてルイーダの酒場に行くと、ちょうどカナブンがいたためドラキー攻略法について聞く。
「ドラキーですか? ああ、初めは苦戦しますよね」
そう言って、対策法を教えてくれる。
対策はシンプルで、攻撃して地面に叩き落とすことに注力したほうが良いと話す。
さらに向こうが攻撃をしてくるようであれば慣れないうちはすぐに走って逃げる。そして逃げるのを決して怖がったりしないことと話していた。
あまりにシンプルだが、たしかにドラキーは逃げたときに高確率で追ってこないため、一旦逃げた後に再度挑戦する方法もあるなとアキラは考えた。
「カナブンさん、ありがとうございます」
「いえいえ、今日は地下2階層ですか?」
「はい。ちょっと様子を見てみたいと思います。無理そうなら地下1階層でお金を貯めて装備を整えようかなと」
「ええ、それも大事ですね。決して無理だけはしないでください」
カナブンと別れ、アキラは旅の扉から初心者迷宮に向かう。
まだ迷宮2日目だったが、ワープの感覚に少し慣れたのか、昨日よりは体調の悪さ加減が少なくなっていた。
少し休み、迷宮を進んでいく。
アキラはスライムやスライムベスはもうそこまで苦戦することなく、倒すことが出来ている。
ドラクエ特有のレベルアップしたという感覚がないことに不思議さは覚えたが、現実はそこまで甘くないのだと気を引き締めて進む。
そして、早々に昨日のリベンジを果たす相手が出てきたのであった。
(出てきたか、ドラキー……次は負けないぞ!)
幸いにもドラキーはアキラの後ろを向いており、ふらふらと飛んでいた。
そこで不意打ちとばかりに、ドラキーにジャンプしながら斬りつける。
ドラキーは攻撃を受けて地面に落ちていく。
「これでとどめだ!」
アキラはすかさず追撃でドラキーに突き攻撃をする。
ドラキーはそのまま消えていった。
(よ、よし! リベンジを果たしたぞ! 不意打ちだったけど、カナブンさんの言う通りやったら意外と簡単だった)
息を乱しつつもドラキーから手に入れた3Gを仕舞う。
そこからは地下2階層をてこずることはなかった。
いたずらもぐらは、スコップを持った二足歩行のもぐらである。
スコップによる縦の振り下ろし攻撃か横のなぎ払い攻撃しかしてこなく、どちらの攻撃になるかの動作も分かりやすいので、簡単に避けられる。
そのため避けた後に攻撃を加えるスタイルで簡単に倒すことが出来た。
おおなめくじはその名の通り、なめくじのサイズが尋常ではないくらい大きくなったモンスターである。
全長がアキラの胸元くらいまでの大きさもいたため、少し引いてしまっていた。
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