ハーメルン
なんかネットでドアパンニキと呼ばれるようになりました
12話:
神絶牙
(
クリティカルヒット
)
通話をしながら俺たちは画面を見る。
『なぁ、これ……』
通話越しに相手の困惑した声がする。
「……」
それに対して俺が黙っていると相手はそんな俺の様子を気にしてもいないように
『……あいつ。絶対今設定ミスってるよな』
そう続けた。俺はその言葉に
「……途中から音全部入ってるからな……」
そう答えるしかできなかった。画面の中では2体のキャラクターが武器を手に争っている。
片方のキャラクターは重厚感あふれる全身鎧をまとい、大剣を軽々と振り回して
フ
(
・
)
ィ
(
・
)
ー
(
・
)
ル
(
・
)
ド
(
・
)
ご
(
・
)
と
(
・
)
すべてを切り裂き続ける男性のキャラクター。
もう片方は俺たちが卒業する前ぐらいに深夜アニメかどっかで見たことがあるキャラクターを模したような容姿にオレンジのSFチックなバトルスーツみたいな装甲をつけた女性キャラクター。女性キャラクターの方はこれまた過去に友人から見せられた記憶が残っているあるゲームキャラクターが使っていた死神の鎌のような光るパーツで構成された大鎌を振り回して大剣と時に回避しながらも斬り結ぶ。
画面の中心には2体のキャラクターが相も変わらず斬り結び続けている。そんな横の方で「解説の仕事? そんなの知らねぇ」といわんばかりにワイプで映し出された小さな画面の中で解説と最初に紹介されたはずの一人の男が血走ったかのような目をしながら高速で画面を凝視しつつ目を右から左へと走らせる。
そんな光景がずっと5分前から延々と繰り返し映し出されていた。
そして各々のキャラクターを操作している者たちの声が聞こえてくる。
それはともに男の声。
そしてそれは……
『この声……言わなくてもわかるよな?』
「あぁ……」
耳に当てたスマホ越しからでも伝わってくる通話相手の怨!
怨!
怨!
の意思。恐らくは画面越しに見ているキャラクターの操作主たちは俺たちがこれを見ているということを知らないだろう。だが、俺たちは恨まずにはいられなかった。
このゲームは昔俺が少しだけ触ったときの設定がそのまま使われているのならばチームごとの通話はできるが別チーム同士だと音声は聞こえない。ただし、観戦モードで見ているアカウントには両チームの音声が聞こえるようになっている。
そして俺たちが今開いているのはゲームを出している会社の公式アカウントの配信のため観戦モードのアカウントでこのマッチを見ている形になる。そのため両者の声が全て流れているのだが、そのせいで俺たちは疑惑を確信に変えていた。
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