ハーメルン
ARMORED CORE -Resume “N”-
Act.1
ジョンの機体は予定通り、施設の間を走る道路の上に降り立った。
作戦エリアのエネルギー施設はそれほど大きくはなく、プラントのような建物とビルの間を碁盤の目のように道路が走っていた。
「敵襲!?もう来たってのか!?」
「ミラージュの奴ら、思ったより対応が早いな。」
「散れ!見つけ次第撃破しろ!」
どうやら着地したときの音で侵入を悟られたらしく、敵の無線がコクピットに響く。混線もしているようだった。
そんな中、ブリードから通信が入る。
「敵は二脚型のMTが7機だ。有人タイプだが装甲は厚くないし、レーダーも無い。一機ずつ確実に仕留めろ。」
「了解。」
ジョンは相づちをうち、レーダーの反応に一番近かった敵を倒すことにした。
ディンゴキラーの背中のブースターが火を吹いて巨体を猛スピードで前進させる。
ブースト移動と呼ばれる、ACの基本操作のひとつだ。
エリアの北側へ向けて建物の間を駆け抜ける。突き当たりを左に曲がるとMTが一機、周囲を警戒しているようだ。
ジョンは接近しながら右手のライフルを三発撃ち込む。
「!?な、なんだ!?」
不意打ちを受けたMTは、機体を旋回させ、振り返る頃には、ディンゴキラーの左手のレーザーブレードが赤い刀身を光らせていた。
「だ、誰か...」
助けて。そう言いきる前に、ブレードが腰部を切り裂き、繋ぎとめていたものを失った上半身は火花を散らせながら地面に倒れ伏した。
しかし既に背後にはもう一機が機体を捕捉し迫ってきていた。
「見つけたぞ!ACだ!!」
相手の持つマシンガンが火を放つ。弾が機体のコアや腕、脚をかすめてその度に火花が散る。ジョンはライフルで応戦しながら、ビルの影に身を隠す。
弾丸がメインカメラと右腕、そして両脚を貫き、大部分の機能を破壊されたMTは膝をついて沈黙した。
ジョンはレーダーに目を移す。更に機影が五つ、こちらに向かってきている。
「その場を離れろ!挟み撃ちされるぞ!」
「分かってる!」
相手は残り五機。レーダーで見る限り、三機と二機に分かれて、先に三機がこちらに来ると予想した。
ジョンは機体を反転させ、先程とは逆の方向へブーストで直進させる。
十字路を抜けたとき、こちらの背後を取ろうと向かってきた3機のMTがモニターの端に移った。
「目の前だぞ!」
ブリードの合図で、ジョンは右肩に装備されたロケット弾を撃ち込む。
一発目はMTの右肩に直撃し吹き飛ばされて倒れこみ、爆風で横にいたもう一機が吹き飛ばされそのまま建物に突っ込んで停止した。
もう一発は三機目の横をかすめて、後ろの建物に当たって火が上がった。
「畜生!これでも食らえ!!」
敵はバズーカを撃ち込む、照準は正確ではなかったが、弾はディンゴキラーの右脚に直撃した。コクピットが大きく揺れて、機体がバランスを崩す。
「ッ!!くそ!」
ジョンは体勢を立て直す。しかし右脚の動きが鈍かった。
「キャクブ、ソンショウ」
コンピューターが異常を伝える。
モニターの左端では機体の脚が黄色く光っていて、右脚の油圧が異常を示していた。
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