ハーメルン
仮面ライダーアズール スピンオフ・アプリ
EP.01[悪意の再来]


 慌てる翔を見てからかうように笑い、彼の頬を指でつつくアシュリィ。
 天坂一家は和やかな雰囲気で、年越しを過ごすのであった。

※ ※ ※ ※ ※

 同じ頃。
 既に全ての領域が崩壊し、荒廃してしまったサイバー・ラインのとある場所では、黒いローブを纏った人影が集って跪いていた。
 老若男女を問わず数多くの人の姿があり、共通してローブの背中と頭部に『黒い涙を落とす血走った眼球』の意匠が施されている。
 彼らの前に立つのは、金色の刺繍がところどころにあしらわれたローブを纏う少年。一ツ眼の銀仮面で覆われており、その素顔は窺い知れない。

「機は熟した……我らの神の名の下に、遥か高き奈落からの天啓のままに、ホメオスタシスに鉄槌を振り下ろすのだ」

 言いながら、銀仮面の少年はある物を取り出す。
 それはマテリアプレート。さらにもう片方の手に握られているのは、マテリアフォンだ。

「今宵、今この時が復讐の始まりだ! 皆、この俺に続けぇ!」
『応!!』

 ローブを纏った者たちが声を上げ、同じく手に握ったマテリアプレートを次々に起動する。
 全てが同じ名称で、同じ音声がその場に響き渡る。

Cytube Dream(サイチューブ・ドリーム)……バイパリウム!》

 そして全員が腰部にガンブライザーを装着し、プレートを装填してデジブレインへと変異し始めた。
 ぬめり気と光沢を帯びた黒ずんだ茶色の肉体と、半月状に広がる扁形の頭部が長く伸びる怪物だ。
 銀仮面の少年がその興奮した彼らの様子を見つめていると、不意に背後から声がかかる。

『やぁ! 随分盛り上がってるようだねぇ』

 声の主の姿は見えず、彼の後ろには底の見えない穴のように黒く広がった泥水があるのみ。
 しかし、銀仮面の少年はその泥に向かって頭を下げた。

「ご助力、感謝致します。あなた様がいなければ我々の蜂起は大きく遅れていたでしょう」
『なぁに……気にする事などないよ、私もあの仮面ライダー共を潰したかったのさ』

 泥の中から触手が無数に伸びてうねり、そこから若い男の声が響く。
 その返事に嬉しそうに「ありがとうございます」と頭を下げ、少年はデジブレインたちと共にゲートを開いてその場を去った。

『さて……彼らはどう出るのかな?』

 奈落のように深く黒い泥水がブクブクと泡立ったかと思うと、まるで最初から何も存在しなかったかのように消失する。
 サイバー・ラインには、再び静寂が訪れるのであった。



 そして。
 1月1日の午前、事件は起こった。
 ヒルのような姿をした人型のデジブレインたちが突然に現れ、一斉に帝久乃市を襲い始めたのだ。当然、街中パニックになっている。
 この異変には当然ホメオスタシスも反応し、即座に対処のため地下研究施設へと人員が集められた。

「ったく、去年と言いなんだってんだろうな。正月くらいちゃんと休めってんだ、どんだけ暇なんだ連中は」

 鷹弘は酷く不機嫌そうに眉をしかめ、深く溜め息を吐いた。既にリーダーを退いた彼だが、緊急事態ということでこの場に姿を見せて指揮を執っている。

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