EP.02[冥王]
しかしそれを踏まえたとしても、翔は業の言い分に納得しなかった。
「お前の言う通り、何もかも事実を話しているとは限らないかも知れない。会長は隠し事の多い人だから。だけど、それはお前の言葉を信じる理由にはならない!」
「なに?」
「少なくとも会長には進んで他人を傷つける意思はなかった、むしろデジブレインが生まれた事を悔やんで責任を果たそうとしていたんだ! デジブレインを使って危害を加えるお前とは何もかも違う!」
そう言うと、キアノスはアズールの肩に手を置いて深く頷いた。
「よく言った翔! 俺も同じ気持ちだ!」
「私たちも、だよ。ゴウ、あなたの言葉は信用できない」
「鷲我様には大きな恩がありますわ」
「そうだそうだー!」
ピクシーとセインL・Rも、キアノスに続く形で業の言葉を真っ向から否定する。
すると業は、溜め息と共に自らの手にあるものを握った。
アズールたちも見覚えのあるそれは、マテリアフォンだった。
「それは!?」
「良いだろう。俺も別に理解して貰おうなどとは思っていない……今、ここで! 貴様らを消し滅ぼしてくれるわ!」
《ドライバーコール!》
さらに業はマテリアプレートを取り出すと、それを起動する。
大きさとしては二枚分の厚さで、アズールの持つチャンピオンズ・サーガと同じ形状だ。
《ダークネス・キングダムXR!》
禍々しい音声と同時に、それはアプリドライバーへと装填される。
するとプレートの蓋が展開し、死神のようなものが描かれたレリーフがあらわとなった。
《ゴー・トゥ・ヘル! ゴー・トゥ・ヘル!》
「変身」
《Alright! イリーガライド!》
マテリアフォンをドライバーにかざすと、業の姿が黒い泥に包み込まれ、変化していく。
黒いアンダースーツに黒いアーマー、そして赤い瞳。
暗闇そのものであるかのようなその威容は、色は違えどアズールによく似ていた。
《ダークネス・アプリX! 極限の邪悪! 極限の暴虐! 魔皇の闇黒覇道、インストォォォール!》
「ぬぅん!!」
その声と共に腕を振ると、背中からマントが伸び出て、真っ黒な剣が右手に握られる。
剣を地面に突き刺して柄頭に手を添え、業の変身したその仮面ライダーは、名乗りを上げた。
「我が名は仮面ライダープルート……ダークネスリンカーX! 貴様らを死に導く冥王である!」
プルートはそう叫び、剣を抜いて一行へと飛びかかった。
当然それにすぐさま反応したアズールは、シャイニングサンの能力で光線を放つ。
だが。
「無駄だ!」
そんな声と共に、プルートの目の前に黒い穴のようなものが形成され、熱線がそこへ吸い込まれる。
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