ハーメルン
仮面ライダーアズール スピンオフ・アプリ
EP.05[2000:あばよ涙]

 20年前の帝久乃市。
 時代が時代だけあって今ほど大規模な発展はしていないものの、既にN-フォンが存在しており、建ち並ぶ建造物に大都市としての片鱗は見せている。

「さて。到着したはいいが」

 ここからどうするか。
 NEWタイムジャッカーたちを探すにしても、方針を固めようにも、情報が少ない。
 まずは現地で調査をするべきだろう。鷹弘が提案しようとした、その時だった。

『市民の諸君!』

 街頭モニターの映像が切り替わり、そんな音声が街中に鳴り響く。

「なんだ!?」
「あの人は……!」

 見上げれば、モニターに映っているのは、中央に『J』と書かれた仮面を被っているグレーのスーツ姿の男。
 翔たちには分かる。あれはアナザーアズールの変身者、ジョー・ヒサミネだ。
 街の人々は皆、映像に注目している。

『これより、地上はこのJが支配する! 我が統治を受け入れよ! 受け入れぬ者には……死を与える!』
「な……」
『六時間後に最初の刺客を放つ! 心静かに時を待つが良い!』

 それだけ言うと、ジョーは通信を切る。
 今の放送に住民たちは騒然とするものの、すぐに何かの告知やイタズラの類と考え、静けさが戻る。
 しかし、ゲイツや鷹弘たちは息を呑んでいた。

「マズいな……今の放送通りだとしたら、すぐに刺客の怪人が街に来るぞ!」
「そんでそれを連中が処理してヒーロー気取りってワケか。胸クソ悪ィ……どこにいるかさえ分かればな」

 ソウゴもゲイツもウォズもツクヨミも、唸り声を上げる。時間の猶予も、情報もない。
 士は腕を組んだまま、何も答えない。思い当たるものは僅かにあるようだが、決め手に欠けているのだろう。
 そんな中。

「いや。今ので僕には分かりました」

 確信めいた強い瞳で、翔が断定する。
 翔の言葉に、訝しんで「本当か?」とゲイツ。すると翔ははっきりと頷き、言い放った。

「はい、間違いありません。ヤツらはサイバー・ラインにいます」
「何!?」

 驚いたのは鷹弘だ。しかし、それを聞くと士は納得して「なるほどなぁ」と首肯する。

「大体分かった。電脳空間からこの街に干渉したってところか」
「恐らくは。現代で形を失っているのも、2000年にタイムジャッカーやジョー・ヒサミネが介入したからだと思います」
「そうと分かれば、早速行くぞ」

 翔と鷹弘が頷き、マテリアフォンを操作する。すると、一行の目の前にサイバー・ラインへのゲートが出現した。

「よし、この時代でもちゃんと使える」
「待ってろよクソッタレ共め……今すぐにでもブン殴ってやる!」



「ここが20年前のサイバー・ライン……」

 電脳世界の地に降り立った翔たち。
 2000年のこの場所には、広大な黒い空間だった。夜闇の中のように暗いというワケではなく、見通しは良好。石や草花が生えているが、生物の姿はない。
 そして。真っ黒な世界とは対照的な、まるで雪か氷でできているかのような輝きを放つ、白い西洋の巨城が遠方に建っている。
 否、よくよく見ればそれは城ではない。装飾こそそれらしくされているが、白亜の城とは似て異なるもの。翔も鷹弘も、既視感がある。

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