EP.06[タイム・イズ・ナウ]
「一緒に戦ってくれてありがとう。助かったよ」
「それはこっちのセリフですよ! これで僕の世界は元に戻るんですよね?」
訊ねると、ソウゴはどこか曖昧な笑みを見せた。
不思議そうに翔は首を傾げる。直後、彼にとって信じられない出来事が目の前で起こった。
周囲の風景、そして人々の身体が、光とともに透け始めているのだ。
翔自身も、鷹弘も。
変化がないのはソウゴとゲイツとウォズ二人とツクヨミ、士と海東、そしてNEWタイムジャッカーたちだ。
「ソウゴさん!? これは!?」
「歴史が元に戻り始めてるんだ、本来あるべき形に。もうじき、君の記憶から……俺たちの事も消える」
それを聞いて、翔は安心すると共に寂しさを感じる。
せっかく出会った彼らの事を忘れてしまうのが、惜しくなってしまった。
ツクヨミも同じ気持ちでいるのか、僅かに目に涙を浮かべていた。
「アシュリィちゃんにもお別れを言っておきたかったんだけどね」
「まぁ、こうなっては仕方がないだろう」
腕を組みながら、ゲイツはそう言った。
そして鷹弘が近付いてくるのを確認すると、互いに何も言わず、拳と拳を軽くぶつけ合わせる。
一方、黒ウォズは白ウォズと話していた。
「白ウォズ、君はどうするんだい?」
「彼らに元の世界に帰して貰うさ。何がどうあっても、そこが私のいるべき場所だ」
白ウォズは士を見て、そう言った。
黒ウォズは僅かに視線を俯かせて「そうか……」と、心配そうに呟く。
「君たちが気に病む必要はない。私は……我が救世主の戦いを見届ける事ができた。それだけで充分だ」
黒ウォズの肩に手を置き、白ウォズは満足気に微笑む。
そして士の隣に立って、頷いた。口には出さないが、別れの言葉は済んだと。
士も頷き、続いて海東の方を確認する。
「お前はどうすんだ、海東」
「士と同じだよ、また旅を続けるだけさ。お宝も手に入ったしね」
海東は懐からあるものを取り出し、見せびらかす。
例の《キング・オブ・ザ・ライダーズ》のマテリアプレートだ。戦闘後のドサクサに紛れ、回収していたのだろう。
「相変わらずだなお前……。……俺も、そろそろ帰らせて貰う。じゃあな」
そう言って士は翔に向かってトイカメラのシャッターを押し、オーロラカーテンからソウゴたちとNEWタイムジャッカーのタイムマジーンを召喚した後、白ウォズと共にその場から姿を消す。
海東も、軽く手を振って同じくこの世界から去った。
それを見届けた後、ソウゴたちも各々タイムマジーンに乗り込んで行く。
「じゃあね! もし、いつかまた俺たちの道が交わる事があったら……」
「はい! その時はまた、一緒に遊びましょう! 平和になった世界で! たとえ今日の事を忘れてしまったとしても……僕、待ってます!! 皆さんと会ったこの空を、護り続けます!!」
トンネルに向かって消えていくロボットたちに、中にいる者たちにも見えるように大きく手を振る翔。
――そして、歴史は正された。
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