ハーメルン
蒼穹のファフナー THE NEWTYPE
第15話「無思慮」

「リカルド。将軍達は無事にDアイランドから少女を連れてくることが出来たそうだ」

フェストゥムに遭遇することなく務めを果たせることに安堵するリカルド。

「アショーカの加護に感謝ですね」

「不思議なものだよ、あれだけ戦ったミールに守られるってのは」

「そうですね」

(なにをしにきた)

(ダメ。近寄らないで)

ふと人々の不安の声を感じ取ったリカルド。

「ウォルターさん。ここ任せていいですか」

「あぁ。どうした」

「彼女からの頼まれ事を思い出しまして」

「おいおい。そういうことはしっかりとしておかないと後々痛い目見るぞ」

「はい。少しの間お願いします」

「了解した」

リカルドは一目散にアショーカの宿る神殿に向かった。

「ミライ」

神殿には何故か自室から出ないように言い聞かせていたミライがいた。

「リカルド大尉。この方どうすれば」

「エスペラントの皆さんすまない。俺に任せてくれないか」

「はい」

急ぎミライに近づくリカルド。

「どうした」

「私は私に課した答を求めてここに来た」

「課した答ってなんだ」

「人間とわかり会う方法だ。このミールならそれがわかる。そう感じた」

「『約束』を破るのか」

「何故これが『約束』を破ることになる」

「人間は答えを自分自身で見つけるんだ。自分で考え自分で導き出すんだ」

「それでは、理解するのに果てしない刻が必要だ。だから私はこのミールから答をもらいにきた」

「だから人間がわかり会うってことは難しいんだ。皆が全て同じ考えとは限らない。人の数だけ考え方や想いがある。でもな、もしそれを実現することが出来たら、人間はもっと良い進化が出来る。俺はそう思う」

「それは。お前がここで生を得ている間では不可能だ」

「だろうな。だから人は繋いでいくんだ。大事なことを次の世代へその世代がまた次の世代へと」

「…」

「彼女もそれを望んでいる。だからお前に託した。俺はそう思う」

「そうか」

ミライはアショーカに手を伸ばした。

「リカルド大尉」

「大丈夫です」

「…そうか。わかった」

ミライはアショーカの眠る神殿を後にした。

「彼女は何者ですか。リカルド大尉」

「彼女は『人』として存在することを望んでいます。どうか彼女の出す答えを見守ってあげては頂けませんか」

「大尉がそう仰るのなら」

「ありがとうございます」

安堵しながら神殿を後にするリカルド。

(フフフフ。アハハハハ)

背後に気配を感じ振り向くと、見知らね少年がそこにいた。

「なんだ…お前」

(君達の思い通りにはさせないよ)

少年は姿を消し、彼の笑い声だけがその場に残り続けた。

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