汚染封鎖町ガラドア Ⅳ
いよいよ、ガラドアIDの終わりが見えた。
魔晶石によって生み出された迷路を抜ければこの宿場町の一番奥までやってきた。そこでは魔晶石によって囲まれた広場が出口と共に形成されており、崩壊した馬車、崩れた家屋などが存在してそれが遮蔽物となっている。全体的に取っ散らかっているイメージを受けるその場所はバリケードが生み出されているようで、その向こう側にコボルト達が陣取っているのも見えた。既に視界範囲内にいるがコボルト達は焦るようなことはなく、バリケードの向こう側で此方の接近を待つように大人しくしている。
無論、その体からは魔晶石が生えている。首や体、場合によっては目さえも覆われている。だというのにまるで理性を取り戻したかのような大人しさで此方を待ち受けている。その中心にいるのが斧を持ち、鎧をまとったコボルトだ。サイズは他のコボルトの1.5倍程度の大きさをしており、メートルで言えば凡そ1.6メートルぐらいの大きさだ。かなり大きく見えるだろう。そしてそのコボルトを中心に展開されている複数のコボルトの姿もある。コボルトアーチャーが2体、通常のコボルトが2体、そしてその更に奥に杖を持ったコボルトがいる。
「《インフェクティッド・コボルト・ウォーリアー》と《インフェクティッド・コボルトメイジ》だな」
「当然の様に全部名前が真っ赤ね。目に悪いわ」
「当たり前だけど今、レベルが推奨値よりも低いからな。ひたすら連携の暴力で潰してるだけだからな、俺ら」
「逆に言えばしっかり連携が取れるならどうにかなる範囲ではあるのよね」
「それ」
腕を組みながらボス部屋―――広場だが―――に突入する前に考える。
「正直ゲームの戦闘バランスとしては相当うまく出来てると思う。今はまだ序盤でどこのビルドもまだ雛型というか、変則ビルドを組んだとしても成長して、変化が入らない限りはどこもまだ似たり寄ったりな感じはあるんだよね。そこまで突出した戦力差は出ないというか。ダメージを数値で見ても多分変化は10~20ダメぐらいじゃないかなぁ、これ」
そこら辺を見てバランスを認識すると相当上手くできると思う。スキルと連携の組み合わせなら十分に低レベル攻略できる範囲だ。おそらくそこまで想定してこのゲームは作り込まれていると思っている。自由度が売りなのだから、最初からそういうプレイに走る奴の事も考えているだろう。少なくとも低レベルプレイを拒否するならIDの突入に対してレベル制限が存在するべきだ。それがない以上、想定して作成したと思える。
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