ハーメルン
断絶世界のウィザード
目指すはW1stの称号 Ⅱ

「まずは姿の定義を行います」

「つまりはアバターの作成、と」

「……そうとも言います」

 半ギレ女神? それとも天使? に従いチュートリアルを進める。ともあれ、まずはこの世界で動き回る為のアバター設定だ。進める為にフィエルが手を振るうと、自分と全く同じ姿のアバターモデルが出現した。現実の自分と全く同じ姿をしているが、しかし姿はインナー姿だ。流石に全裸はなかった。いきなり自分の全裸を見せつけられたらそれはそれで困るんだけど、

「何時の間に……」

「これは稀人様の魂に焼き付いた―――」

「技術的な話だと?」

「……起動の際に神経接続の確認が入るので、それを通して全身のスキャンを脳で」

「フィエルちゃんもしかしてRP苦手?」

「そんなことないですよ! 大体貴方のせいですよ! 少しはRPに付き合ってくださいよ! 私の存在意義なんですからぁ!」

 半ギレ半泣きの姿に腕を組みながら頷きつつも、目の前に半透明に浮かぶウィンドウが出現する。おぉ、と声を零しながら手を伸ばし掴んでみる。半透明のホログラムの様なウィンドウだが、実際に掴んで振り回す事が出来た。すげぇ、流石電脳世界は表現に対する制限がないんだなぁ、と思いながら外へと向かってフリスビーの様に投げた。

「そぉい!!」

「何やってるんですか!!」

「ごめん、つい」

「つい、じゃないですよついじゃ! もう、今度は投げ捨てないでくださいよ……」

「うす」

 なんか親しみやすいAIだなぁ、と思いつつ自分のアバターに干渉する。色合いとかはウィンドウを使って操作するみたいだが、どうやら自分の姿に関しては自分の手で直接干渉できるらしい。こうやってダイレクトに触れて干渉できるの、面白いなぁ、とは思う。

「ちなみに性別の方は変えられません。長時間の性別変更は脳への悪影響もありうるので。まだ確実ではありませんが、それでも安全確保の事もありますので」

「あぁ、うん。流石にここまでリアルになるとネカマプレイは勿体ないかな」

 いや、まぁ、人生で一度ぐらいはTSしてみてぇなぁ、なんてことも思ったりするが。実際こうやってその機会を得ると何よりも自分の両足で立って走り回りたいという気持ちの方がはるかに強い。別の誰かよりも、己自身で行ける所まで挑戦したいというか。そういう感じが強いから、あまり元から変える必要もないだろうと思う。ただ、完全にそのままなのもつまらない。

「えーと、髪は伸ばすか……とりあえず腰ぐらいまで、と。色はもっと艶のある黒にして……首の裏で纏める事も出来るのか」

「髪留めや髪紐はオプションですね」

「なるなる。じゃあインナーカラーを設定してくか……」

 首の後ろに髪留めを設定して、ついでにインナーカラーを設定する。つまり髪の内側だけ色が違う、という奴だ。あまりリアルでは見ないけど、ファンタジー系とかではそこそこ見るし試したかったんだよなぁ、という事で赤色に設定してみる。うん、中々悪くない。正面から見ると解りづらいが、動くとその陰に赤が混じる感じだ。この感じ、非現実的で良い。体を動かしたときに良く映えるんじゃないだろうか?

 後は……前髪をちょっとだけ伸ばして、片目だけ隠れる感じにしよう。()()()()()()()()()()()()()()()()だ。だとしたらちょっとはミステリアスな感じが入るのが丁度良いだろう。うん、良い感じに本人のままIF、って感じがあるんじゃないだろうかこれ? 我ながらイケメンだと思う。やっぱ世の中顔が全てよ。ついでに目の色も変えちゃう? 変えちゃおう。こっちも赤色で良いんじゃないだろうか。うん、イケメン。

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