第1話 ありふれた異世界召喚
目覚ましの音が部屋の中に鳴り響き、俺は目覚ましを止めると起き上がる。
「くあっ………何か懐かしい夢を見たな………」
俺は立ち上がると学校の制服に着替え、机の上に置いてある黒い縁取りのDアークを掴むと腰のベルトに差し込む。
俺が転生して17年。
今世の名は黒騎 大士。
デジモンのテイマーになりたいと願ったが、まさかデジモンテイマーズの世界に転生するとは思わなかった。
テイマーズの主人公であるタカトと同じ小学校で、タカトがギルモンと出会った時と同じ時期に俺もパートナーと出会った。
俺のパートナーはドルモン。
本来はもっと後のシリーズに出てくるはずなんだけどな。
ハッキリ言えば、俺は浮かれていたんだろう。
まるで自分が物語の登場人物になったようでデジモンカードによるサポートも、完全体までの進化もトントン拍子に出来るようになった。
だが、クルモンを助けるためにデジタルワールドに同行し、タカト、ジェン、ルキの3人がデジモンとの融合よる究極進化を会得する中、俺はドルモンとの融合進化をすることが出来なかった。
やがてリアルワールドに戻り、デ・リーパーがリアルワールドに出現してタカト達と応戦した時、現実世界ではタカト達は融合進化が出来ず、一度目はベルゼブモンがブラストモードとなって助けに来てくれたが、二度目の戦いのとき、タカト達はドーベルモンのお陰でリアルワールドでも究極体へ進化できるようになったが、俺は如何することも出来なかった。
デ・リーパーの攻撃の前に倒れ伏すドルモン。
その時俺は気付いた。
俺はドルモンを、いや、この世界全てを『物語』として見ていた自分に。
俺は心の何処かで彼らを………自分自身を含めたこの世界の人々を『物語の登場人物』としてしか見ていなかった。
それを悔やんだ時、俺は初めて『この世界の住人』である事を自覚する。
そして俺は、その時初めて『自分自身の意志』で戦う事を決意した。
それが切っ掛けとなったのか、俺はドルモンとの融合進化を成功させたのだ。
それからデ・リーパーとの戦を終わらせ、ドルモンと別れる際、再会を約束して涙した。
まだ再会の約束は果たせていないが、いつか会えることを信じて俺は毎日を頑張っている。
「いってきまーす!」
今世の両親へそう言うと、俺は学校へと向かう。
前世では高校であまり真面目に勉強せずに後々苦労したので、今回は真面目に授業を聞いて、何とかクラスで十位~十五位ぐらいをキープしている。
俺が教室へ入ると、
「おはよう大士君!」
そう言って凛とした声で俺に挨拶してくるのは長い黒髪をストレートに伸ばしたスタイル抜群な美少女。
「ああ、おはよう葵さん」
俺は挨拶を返す。
この美少女の名は神代 葵。
この学校で『三大女神』と呼ばれる学校屈指の美少女の1人である。
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