第5話 ハジメを助けに。ドルガモン飛翔!
次に気が付いた時、俺はベッドの上に横になっていた。
「くっ…………」
俺は身体を起こす。
「大士!」
「あっ、気が付いた?」
ドルモンが俺の名を呼び、葵さんがタオルを入れた桶を持って立っていた。
葵さんの傍らにはリュウダモンもいる。
「ドルモン………葵さん…………ここは? どの位眠ってた?」
「ここは王都よ。大士君はメルド団長に殴られて気を失ってたの………あれから3日経ってるわ」
「3日…………そうか…………」
随分強く殴られた様だ。
ベッドから降りると微妙に腹が痛んだが、動く分には問題無かった。
「状況は?」
俺がそう聞くと葵さんは表情を曇らせ、軽く俯いた。
「ちょっと………というか、大士君や私にとってあまり良くない状況になってるわ」
葵さんが言うには、あの時トラップに掛かった直接の原因は檜山の勝手な行動によるもので、宝石の原石を取ろうとして罠にかかったそうだ。
それはクラスメイトのほぼ全員が目撃しており、非難は檜山に集中するはずだった。
檜山は土下座して平謝りを繰り返していたのだが、その時にとんでもない事を言いだしたのだ。
曰く、檜山が宝石を取りに行ったのは、俺に頼まれたからで、俺が葵さんの気を引くためにプレゼントしようとしていたと。
檜山は俺の頼みを断り切れずに仕方なしに取り入ったのだと。
その証拠に、俺はトラップを警戒して葵さんを連れて離れていたから助かった等々。
「なんじゃそりゃ?」
俺は思わず呆れた声を漏らした。
「私もあの場から離れていたのはリュウダモン達と再会してたからって言ったんだけど、信じてもらえなくて…………ごめんね」
葵さんは気まずそうにそう言う。
「いや、葵さんが悪い訳じゃないよ。っていうか、その言い方だと檜山の言い分を全面的に信じたのか?」
「信じたって言うか………天之河君が『よく話してくれた。疑ってすまない』とか言い出して…………そのままの流れで………」
「あの頭ん中お花畑の天然勇者め…………!」
俺は思わず愚痴が零れた。
「っていうか、葵さんに好きな人が居るのは周知の事実なのに、俺如きが宝石プレゼントした程度で靡くと本気で思ってんのか?」
「あはは……………流石にその程度じゃ心変りはしないね。ああ、大士君が嫌いって意味じゃないからね!」
葵さんは苦笑する。
「で、結局大士君は皆を窮地に陥れた元凶。私は尾ひれがついて大士君を誑かした悪女って事で話が進んでるみたい」
「その無理矢理な話の進め方から察するに、ステータスの低い俺達と檜山。どっちを取るかと言われれば、ステータスの低い俺達を切り捨てる選択をしたんだろ?」
「あ~、やっぱりそう言う判断になる?」
「最初から危惧してたが、どうやらこの国の上層部や教会にとって、俺達は単なる戦争の『駒』でしかないんだろう」
「「……………」」
話が途切れ、俺はハジメの事を考える。
「……………葵さん。白崎さんと八重樫さんは如何してる?」
「えっ? 香織と雫? 香織はメルド団長に気絶させられたまままだ目が覚めてないし、雫はそんな香織にずっと付き添ってるけど…………」
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