ハーメルン
シルヴァリオ メタモルフォシス ~シルヴァリオ ラグナロク Side:Capricorn~
Chapter Ⅹ 運命開戦/With swords

「……冗談でしょう?」

 ようやく絞り出し声は、自分でも驚くほどに震えていた。
 否が応でも現実を否定したいという私の想いとは対照的に、しかし隊長はどこまでも本気だといった調子で剣先を私に向けながら熱の籠った声を浴びせてくる。

「冗談であるものか。俺が求めるお前への見返りはこれだ。
 思えば、お前と手合わせしたのも、配属されてからすぐのあの日以来か。
 丁度いい。お互いどれだけ成長したのか確かめるいい機会だ。
 といっても、今回は前回のようにアダマンタイトでの模擬戦ではなく、訓練用の剣での実践となるが……」

「ま、待ってください……! た、確かに私は何かさせてくださいって言いましたけど、何も戦う必要なんてどこにも……」

「安心しろ。何も殺し合いをしようってわけじゃないさ。それにアダマンタイトでない以上、星辰光の発動もできない。お前に能力を使用しろって言ってるわけじゃないんだぞ。お前が()()()()()()()()()()()のは、俺も知っているからな」

「…………でも」

 確かに能力を使っての戦闘じゃないと聞いて安心はしたが、だからといって矛を交える必要がどこにあるのだ?
 隊長の目的は何なのだ? そういえばさっき、今宵は存分に語り明かそうとか訳の分からないことを口にしていたが……


「剣を交えることでしか、拳を交えることでしか語れないこともあるだろう。
 日常では口に出せない、不満、思想、熱意、己が考える“勝利の形”……戦いの中で、互いにそれをぶつけられるのが、闘争の醍醐味であると、俺は考えている。
 だからウォーライラ、剣と共に、お前の想いを俺にぶつけてこい。
 何でもいいんだよ。お前の半生を語るもよし、この一年半の間の俺への不満をぶつけるもよし……興が乗ったなら、軍人を何故辞めたいと思ったのかを語るのもいいだろう。俺個人としては、お前の幸せの形なんかも聞いてみたいかな」

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