八話 太陽の届かない地 〜deep world.
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地霊殿で過ごすことになってから数日が経った。
一番に思ったことは、この地霊殿では霊の類が多いと思ったが妖精という類のものもいれば、動物も結構な量がいた。
その中でも猫が多いかもしれない。
「懐いてくれる子もいれば、威嚇してくる子も居るんですけどね……」
ただ妖精は俺を見つけ次第悪戯してくるので正直やめて欲しい……傷がまだ……
っと……もう1つの意外に思ったことが目の前に……
「皆さん、ちゃんと分けるんですよ。1人で食べちゃダメですからね」
「「ニャーニャー」」
「こらっ一人で食べちゃダメだって……」
地霊殿の主人古明地さとりの姿がある。
俺は嫌われているようでまだ冷たい態度を取られているが……動物たちには優しいようで始めは驚いた。
「……何か、御用ですか?」
「さとりさん、おはようございます」
「おはようございます」
挨拶だけして動物達の方に視線を戻す。
数日が経って餌やり時とかに俺が居てももう気にしないらしい。
助けてもらったのも事実だし俺も鬱陶しいようには思われてないわけだが……流石に寂しい……
猫みたいな真似をするべきなのか……?
「気色の悪いことをしないでください」
「ごめんなさい」
確かに自分の猫姿を想像してみると気色が悪かった。やっちゃダメなやつだこれは。
「想像しないでください」
「ごめんなさい」
そして想像して怒られる。
そりゃ覗かれてる以上はそうだな……
「まだ何か?」
「いえ……特にそう言うわけでは」
気になってることがあるんだが……言っていいものかと。
「何がですか?」
「大したことでは無いんですけどね」
「だからと言って何か抱えていて黙られても困るんですが」
「では、他の人達は?と」
「……」
地霊殿に来てからと言うものさとりさんとしか会ってない気がする。
流石にこの建物は広いし誰もいないってことは無いと思うが……どうしたんだろうと。
「この子達がいるじゃ無いですか」
「それはそうですね」
「そもそも人間がいる事自体が異常なのです。なので何もおかしく無いと思いますが」
「そう言われるとそうですが……家族とかはと」
「妖怪を人間の定理に当て嵌められても困ります」
「……」
そうだよな……妖怪って人間と違うだろうに家族が居るって決まったわけじゃ無いか。
「貴方は大丈夫なんですか?」
「何がですか?」
「家族についてですよ」
「あぁ……もうどうせ会えないって思ってましたから」
「それでいいんですか?」
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