五話 死に戻りとその自覚 〜resurrect once more.
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「は……?」
「お前がこの里の雪を降り続けさせている妖怪だって言ってるんだ!!」
何を言い出しているんだこの人は。
俺は人間だ、見れば分かるだろう?
確かにルーミアさんとかみたいに人間に見える妖怪は分かるが……わざわざ弱くなる必要ないだろうと。
「そんなこと出来るわけがないだろう!!」
「去年まで不作も蝗害も無い!雨は降れども台風すら来ないこの里に雪が降り続けているのはおかしいというんだ!!」
「それは知りませんよ……」
あの人が言ってた通り村では災害なく暮らせて来れたと。
ただ、実際にどうであったかは知るわけ無いんだからどうしようもない。
「この異変が起きたのを我々は疑った、そしてその時聞いた話がより確実になった」
「妖怪である理由ですか……?」
「お前がルーミアに食べられず、それどころか案内された……おかしいだろう?」
「言いがかりですよ」
一度喰われた記憶がある。だからこそ生き延びようとして生き延びたのにそれはあんまりだろう。
出会わないように逃げただけだって話だし。
「残念だが我々はお前が我々を殺しに来た妖怪としか思っていない」
「出てけって言うんですか……?」
正直この雪の中、違う里まで辿り着ける自信がない。
ただ諦めず運が良ければと言ったところか……
「いや」
「良かった、弁明は聞いてくれそうですし、雪で死ぬこともなさそ……」
「お前は殺す。里を守るために」
「嘘ですよね……?」
殺害宣告に言葉を疑う……嘘だろ……そんなことが……
そもそも罪が重すぎやしないかと訴える。
「待ってください!!流石に妖怪と確信してないのに殺すのは……」
あの人だけは味方とばかりに止めようとしてくれた。
しかしその言葉すらも通らぬようで……
「里の“総意”だ皆、討ちとれ!」
その言葉とともに皆が武器を持って構える。
慌てて逃げ出す、流石に冗談じゃない。
「追え、絶対逃すな!!」
怒号と共に武器を持った人間が迫る。
慌てて逃げ出すが足に矢が刺さる。
「痛ッ……。」
「必ず追い詰めろ!絶対に生かして逃すな!」
足の痛みも血も止まってはくれないが、足を止めれば死ぬ。
その恐怖心で必死に逃げ出す。
「死んで……たまるか!!」
腕を長槍で刺された。腕から血と共に体温が逃げていくのを感じた。
腹に石がぶつかった。
さすりながら逃げる。絶対に変色しているだろう。
謂れのない罵倒を浴びせられる。
違うと叫びながらも足を動かす。
そうして村の入り口について、そのまま外へと出て行った。
「アイツが外に出て行きました!!」
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