六話 地獄へと向かう 〜hell in marionette.
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何もする気が起きなければ、誰も信じることが出来ない。
そうした不安に苛まれながら……自堕落な日々を過ごした。
正確には過ごしたわけではなく、自堕落に過ごしその度に妖怪に殺されて戻っていた。
だからこそ、死に戻りは確信したが正直どうでも良かった。苦痛でしかないのだから。
「死ぬのが怖いって気持ちよりもどうでもいいって気持ちが強くなった」
痛いのは今でも嫌だが……だからと言って争う気持ちが湧かなかった。
「確か前回の人生の最後はリグルって子だっけ?」
妖怪は、人喰いは色んな種類がいるんだなと思いつつ思った瞬間に死ぬことを繰り返す。
むしろ即死させてくれる分人間よりも優しいかもしれない。
「何百回、何千回死ねば終わったりしないかな」
一定回数死ねば終わるって言うなら喜んで死ぬが……そんな気配は一切ない。
だからこそ残るのは苦痛だけ。
時折少しだけ長生きしてみようとするも、頑張ったところで冬に死ぬ。
一度だけ本気で頑張ったが、その時は同様に春になっても雪が降り続けていた。
「俺が悪いわけじゃなかったじゃん……」
当然そう言ったところで誰も信じてくれないと分かりつつも愚痴る。
「どうせ俺は嫌われ者ですよ……」
『やーい嫌われ者』
「うるさいうるさーい、自分だって気にしてるんだ!!」
『でもお兄さん自分で言ったんじゃん』
「それはそうだけどさ……」
そう、自分で言ったわけだから仕方ないけどそこまで言わなくたって……
「こうなったらいっそ暴れてやる!!」
『暴れたところで何もないのに……?』
「確かにそうだな……」
無性に暴れたくなった気がしたが……意味がないことで諦める。
本当に暴れる意味がないのは事実だが。
「しかしどうするか……」
『お腹空いたー』
「ん、きのみしか無いけど」
『わーい』
あれ?俺きのみ食べたっけ?なんか無くなってるんだが……
食糧ただでさえ少ないのにそれを覚えてないのは損な気分だ。
『意外と美味しいねこれ!』
「そうかい?そりゃよかった」
『うん、もっとある?』
「……」
『わーい♪』
今言ったばかりなのにまたきのみが無くなっている。
本格的に裏切られて記憶が朧げになっているのだろう。
「適当に歩くか……」
『何処行くのー?』
「さあな……1人で何も考えずだ」
『それじゃあいい場所あるよー』
「そうなのか?」
『うん、案内するよ』
理由もなく道を歩く。なんだかそっちに行かなきゃいけない気がして……
本当にこっちに何かあるか分からない。
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