『さぁっっっっっ!ついにこの日がやってきましたっっっ!!』
『TVユーガッタから愛を込めて!!!』
『笹原エイトのチャンネル8!!』
『始まりますよーっっっ!!!』
半ばヤケクソのようなテンションのままのエイトが番組スタートを告げると。
シルヴィア・ゴールドバーグが。
アメリア・サリヴァンが。
魚見慧が。
ジャック・マスクの顔隠しが。
四者四様、各々の感情を秘めて、入場してくる。
かつて顔隠しがアメリア・サリヴァンと死闘を繰り広げたときのような、一応別名義でのゲストとしてではなく。
嘘偽りなく、人気もプレイヤーとしても世界のトップに在るゲーマー三人と、その三人が認めたアマチュアゲーマーがいるのだ。
『えーっとですね、今回……というか、不定期放送になるんですが、全米一と全米二から企画の持ち込みがありましてー!』
「ねぇケイ、ミス・エイトのテンションがおかしいワ?」
「そりゃ君たち二人から、所属ゲーミングチーム通して企画の持ち込みとかあったらヤケクソにもなるでしょ」
「……………」
「ねぇケイ、顔隠しの様子が変よ?」
「コイツが変なのは昔から変わらないから」
『皆さん御存知とは思いますが!かつて全米一、全米二と戦って世界に名前を知られるミスター・顔隠し!彼と戦いたい、彼と戦って自分の力を、立ち位置を知りたいというプレイヤーが殺到していましてーっ!!』
「そんなに多いのか………?」
「少なくともサ………顔隠し、君のカスプリとやり合いたいってミーティアス使いはごまんといるよ。後は……そうだね、アメリアの雪辱を果たしたいって人もいるし」
「私は、自分のリベンジは、自分で果たしたいです」
「とっくに果たされてる気もするんだけど」
「ノンノン顔隠し、ギャラリー無しでの勝利なんて、リベンジのうちに入らないのヨ」
泣きそうな笹原エイトを尻目に、雑談に興じる四人。
ジト目でそちらを見つめる姿でファンを増やしつつ、笹原エイトは猛る。
『不定期ではありますが!!厳正に審査されたプレイヤーの方々が!!顔隠しさんと対戦出来るということで!!』
「ちなみにカッ………お前や全米一が審査したんだろ?」
「Yes!世界でそれなりに有名なプレイヤーもいるわヨ!」
「頑張ってね、僕達に恥はかかせないでよ?」
「負けないでください、あなたを打倒するのは私です」
アメリアのソレが独占欲なのか、プレイヤーとしての意地からなのか、本人も理解出来ていない。
無論、顔隠し───サンラクも理解していないのだろうと、魚見慧は考えている。
それはともかく、今日のkei、シルヴィア、アメリアは解説である。
何故この三人なのかは言うまでもない。
彼に唯一通じている(と思われている)魚見慧は当然のこと、かのカースドプリズンと全身全霊を込めた闘いを行った二人がいなければ、解説などままならぬだろうということだった。
本当は、二人が自身の所属ゲーミングチームに働きかけて捩じ込んだだけなのだが。
ともかく。
暴徒の魂を、暴徒の血を取り込んだ顔隠しは容易に止められるはずもないだろう。
慧が、シルヴィアが、何よりアメリアが顔隠しの派手でリアルなプレイを信じていた。
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