ハーメルン
地球防衛軍戦記
太陽系外周防衛戦3

白色彗星 玉座

テレザート星の自爆に巻き込まれ進路変更を余儀なくされた白色彗星の玉座に座るズォーダー大帝は険しい表情をしていた。
取り巻きのサーベラー総参謀長以下幕僚達は何か言われるのではないかと恐れていたがそれは杞憂であった。

「我がガトランティスは今まで一度も進路を変えたことが無い。これは屈辱的な出来事だ。サーベラー直ちに彗星の状況を確認しろ。それと太陽系方面のメーザーはどうしている」

ズォーダー大帝はそう命令を下すと同時に太陽系方面艦隊の状況を尋ねた。

「どうやら苦戦しているようです。なんでも強力な艦隊が太陽系外縁部にいるようで」
「地球はヤマト以外にも強力な艦艇を保有しているようで、潜宙艦隊などは悉く撃退され攻めあぐねているとのことです」

サーベラーとラーゼラーは立て続けに報告した。

「ならばメーザーに伝えろ。全力を持って地球艦隊を潰せとな」

大帝はそう鋭い目つきをしながら命令した。


そして命令は太陽系から少し離れた宙域に居たメーザー中将指揮のガトランティス軍太陽系方面艦隊に伝えられた。


太陽系方面艦隊旗艦デスガラム

「大帝より命令を頂いた。全力を持って地球艦隊を潰せとの命令だ。直ちに全艦隊を集結させよ。艦隊集結後、艦隊は全力で太陽系に侵攻し太陽系外縁部に居座る地球艦隊を撃破し地球を占領する」

大帝の命令を受けメーザーはそう指揮下の艦隊に命令を下した。


数日後太陽系方面艦隊は太陽系に向けて進撃を開始した。
だがこの時、メーザーは重大な勘違いをしていた。メーザーは太陽系外縁部に居座っているワイアット指揮下の艦隊が地球の主力だと思っていたのである。


2203年5月5日

この日、太陽系外周防衛部隊兼第六艦隊旗艦バーミンガムに居たワイアットの元に一報が入った。

「司令、第十パトロール艦隊が太陽系に接近するガトランティス艦隊を捕捉しました。詳細はカラクルム級28、ナスカ級6、ラスコー級42、ククルカン級96です。なおパトロール艦隊はギリギリの距離を保ちながら接触を続けています」


そう報告を受けたワイアットは少し考えた後、口を開いた。

「うむ。シリウス・プロキオン星系に居るガトランティス艦隊の動きはどうなっている」
「今のところ動きはありません」
「ならば、接近している艦隊は今まで散漫な攻撃をしてきていた艦隊の親玉だな」

ワイアットはそう言い紅茶を一口飲むと命令を下した。

「直ちに外周防衛部隊はパトロール艦隊以外本艦隊に合流させよ。総力を挙げて迎え撃つ。司令部にも詳細を報告せよ。ただし外周防衛部隊で対処は可能と付け加えて打電だ」


土星衛星タイタン地球防衛艦隊司令部

「土方司令、ワイアット中将は外周防衛部隊の総力を挙げてガトランティス艦隊を迎撃するようですが大丈夫でしょうか」
「大丈夫だ。白色彗星及びシリウス・プロキオン星系に展開中のガトランティス艦隊に動きは見られない。ここで無暗に防衛艦隊の総力を挙げる必要は無い」

土方はそう言い切った。
この時、地球防衛軍は既にシリウス・プロキオン星系に大規模なガトランティス艦隊が展開しているのを把握しており、この艦隊が地球侵攻部隊のだと断定していた。無論転生者の入れ知恵である。

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