第弐拾話 始まりの呼吸
八丈島での任務を終えて数日。
次の司令まで煉獄邸にて休息をとっていた。
八丈島から連れ帰った小芭内も現在煉獄邸に滞在している。
「小芭内!外に行こう!」
「分かった、杏寿郎。」
歳の近い杏寿郎と小芭内はあっさりと打ち解けて、今はこうして二人でよく遊んでいる。
俺はというと・・・
「よーし千寿郎いい子だぞー。」
「あうー。」
千寿郎と戯れている。
束の間の休息なのだからこれくらい許されるはずだ。
「啓君たら、すっかりもう一人のお兄さんね。」
「実際俺も弟のように想っていますから。」
瑠火さんと会話しながら千寿郎をあやしていると、奥の部屋から槇寿郎さんがやってくる。
「毎度千寿郎のことありがとうな啓君。」
「いいんですよ。俺も楽しいですし。」
「・・・ちょっと見せたいものがあるんだがいいか?」
「・・・?はい。構いませんよ。」
瑠火さんに千寿郎を預けて二人で奥の槇寿郎さんの部屋に行く。
槇寿郎さんが手に持っているのは何かが記されている書物。
「これは代々炎柱に受け継がれている【炎柱ノ書】。先程掃除をしていたら新たに見つけてな・・・」
「これが・・・どうしたんです?」
「読んでみてくれ。説明するよりそっちの方が早い。」
槇寿郎さんに促され書物に目を通す。
そこには「始まりの呼吸」について書いてあった。
全ての呼吸はこの「日の呼吸」の派生であること。
最も強い呼吸であること。
そして、かつてこの呼吸の使い手が鬼舞辻無惨を追い込んだこと。
だが肝心の技についての説明がなかった。
「これは・・・」
「凄まじいものだろう?まさかこんなものが存在するとは・・・」
「惜しむべくはこの呼吸の型や呼吸の仕方について書いてないことですね。」
「うむ。それがあれば恐らく啓君なら再現出来たのだろうが・・・」
「日の呼吸・・・か。御館様に聞けば何か分かりますかね?」
「どうだろうか・・・」
突如、頭痛に襲われる。
「がッ・・・!?」
「啓君!?」
ー日の呼吸はこうやるのだ、清十郎。
ーほう・・・だが俺の飛天御剣流の方が上だな。
ーさあかかってこい。
ーへっ、後悔すんじゃねぇぞ。
ー私は鬼から弱き人々を。
ー俺は時代の苦難から弱き人々を。
「な・・・んだ・・・これ・・・!?」
「啓君!どうした!大丈夫!!」
しばらくして、頭痛は止む。
「大丈夫です・・・もう、治まりました。」
「そうか・・・一体どうしたんだ?」
「覚えのない記憶が俺の頭の中に・・・二人いました。俺の先祖と、そしてもう1人は・・・日の呼吸の使い手です。」
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