ハーメルン
せっかくバンドリの世界に転生したので全力で百合百合を眺めようと思ったら全員がノンケで絶望しました。
8.片付けが苦手な人だって居るんですよ
油断大敵という言葉がありまして……。
わたし達は今、市ヶ谷家の蔵を整理して掃除などをしている最中なのですがね、ふと思ったのですよ。
あれっ? わたし何か忘れていない?
周りでは有咲と香澄が重そうな段ボールをキャッキャと言いながら二人で運んでいたり、沙綾が真面目な顔で床掃除をしていたりというとても尊い光景に包まれて幸せ最高潮な訳ですが、何か大事な事を忘れている気がする。
あっ! 思い出してきた、そうだ、香澄がバンドに興味を持つキッカケになったライブ鑑賞のイベントがまだ発生していない。
あのイベントをこなさいとそもそも香澄がバンドを組もうと考えてはくれない。ヤバイ、あまりにも普通の女子高生活が楽しくて油断していたわ、あっぶねー。
もうフラグが自動で建つとかの希望は持ちません。未来は自分で作るもの、動かなければ『尊い』を眺める事が許されない世界だと知ったのですよ。
「おーい、優璃」
「なに? 有咲」
「手伝え!」
「あいやこれは申し訳ござらん。拙者いまは大事な策略を練っている最中につき、いま暫くお待ちを」
「働け」
有咲ちゃん、眉間にシワを寄せると折角の美人が台無しだよ。
仕方がないので軽い荷物を片付けながらどうやってライブを見せようかなと考える、ぼうっとした意識のままちょうど目の前にあった古ぼけた箱をなんとなく開けてみると小さい掛け軸が入っていた。そっと手に取りジッと眺める、何か巻き物みたい、巻き物……。
「優璃、それを咥えて忍者の真似をしたら買い取りな」
有咲ちゃん、現役女子高生のツバ付き掛け軸なんて価値が更に上がってしまうとか考えてはくれないのですかね。
「ゆり、ちゃちゃっと片付けよう」
沙綾が優しい微笑みで語りかけてくれる。本当になんだろう、沙綾のお姉ちゃん指数の高さは異常だ。うちの瑠璃姉さんにも匹敵する安心感というか安定感がある。
沙綾お姉ちゃん……いや悪くないね、って最近自分の中で妹属性が育ってきている気がする。これはマズイですよ、このまま女の子化が進めば神様の思う壺にはまり、ほれほれさっさとお前もノンケになってしまうが良いとなりかねない。いや誤解の無いように言っておくと、わたしは女の子が好きというよりかは尊いが好き、女の子達がキャッキャウフフをしている光景が好きなのですよ。
「
美月 優璃
(
みづき ゆり
)
さーん」
「はいなんでしょう、
市ヶ谷 有咲
(
いちがや ありさ
)
さん」
「手伝え」
アイヤー、ゴメンナサイヨ。チョトアタマ、ツカテタヨ。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
沙綾がそろそろ帰らないといけないという事で今日の片付けは終了となりいよいよランダムスターの鑑賞タイムに突入です、っとその前に沙綾に借りていたシュシュを返さなくちゃ。髪が長いから片付けの邪魔になるって沙綾が髪を束ねてくれたんだよね、本当によく気がつく子だよ。
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/5
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク