基礎トレーニング
あの時のミッションの結果。私は23点を獲得して合計84点。
そしてあの能面たちを倒してヒイロさんは……なんと100点を獲得していた。
ヒイロさんは迷う事なく二番を選んで、前の時のように一度どこかに転送? されてからまたすぐに姿を現した。
結局、ヒイロさんのその行動が何だったのかはよく分からなかったけれど……でも、そうして私たちは日常に──。
「立花」
「? なんですか、ヒイロさん」
それはヒイロさんの大学が休みの日のこと。朝ごはんを食べた後、洗い物をしているとヒイロさんから声をかけられた。
「俺は考えた……今のお前に必要なものは何か、を……」
「?」
神妙な表情で私を見つめたヒイロさんは、がっしりと……まるで逃げるのは許さないとばかりに私の肩を掴む。
「すなわち力」
「え」
「星人との戦闘に耐えうる程度の力が必要だ」
「は、はぁ……」
「立花」
ぎゅっと私の肩を掴む手に力が込められた。
「お前に戦い方を教える」
◇
「はっ、はっ……はぁっ!」
「遅いぞ立花ッ! もッと速く走れ!」
「でもっ、もうっ、十キロッはッ、走ってますッ!」
「まだまだッ、後三十キロはやる!」
「さささ、三十!?」
それは、昼下がりの郊外でのフルマラソン。
「お、ぉぉえええええ……」
何度も何度も足を止めそうになった立花のケツを叩きながら進み。
何度吐いてもマラソンは完走させ。
「ふんっんんんぬぅっ!?」
「……二十五……次は三十を十回だ」
「さささ、三十!?」
市営のジムに赴いてはペンチプレスをさせ。
「ぜぇっ……はっ……またッ……ランニングッ……!?」
「頑張れ」
「なんッでッ……!? ヒイロさんはッ……! 平気そうなッ……感じッ……なんッですかッ!」
「伊達に七年続けてない」
「……」
立花はドン引きした表情を走り続けていたが、十分ほど走らせたところでとうとうリタイアした。
「……うッ、おええぇええ」
昼飯を吐いた立花を今度はジムに併設されてるプールに連れていき。
「立花……十キロは泳いでもらう」
「──」
絶望の表情を浮かべる立花の隣で声を掛け続け……とうとう十キロの水泳を達成した。
ジムでの運動を終え、一日中運動を続けた立花にシェイカーを差し出す。
「プロテインだ。飲め」
「のめません……」
「飲め」
「またすぐ吐いちゃいますッて!?」
「吐いた分を補給する」
いやいやという立花の口を掴んで無理矢理にプロテインを流し込む。
「飲め」
「ごぼぼぼ!?」
全てのプロテインを飲み切った立花は、それはもう苦しそうにしていたが、それでも吐き出しはしなかった。
よかった。流石にもう一度アイツの口に流し込むのは気が引けるからな。
そして──。
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