航海日記17 議論
それだけを言い残すと、概念伝達からムサシの姿が掻き消えた。
それどころか、いつの間にか円卓の席についていたどのメンタルモデルも消えている。
議題がある程度纏まった段階で、決められた方針を実行に移すべく活動しているのだろう。
争いが始まるまで、残された時間は少ないのだから。
「ええ、分かっていますよ………ムサシ」
かつての穏やかで平和だった時間は、取り戻せない。
それは、仲の良い姉妹艦同士であった二隻の関係と、初めて接触した二人の人間との関係が、取り戻せないことを意味していて。
ヤマトは残された空間で一人、悲しげに呟くのだった。
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