航海日記41 意思ある兵器。意思なき兵器。
ヴォルケンクラッツァーを無力化することに成功した霧の艦隊は、南洋諸島方面の海域を完全に制することに成功した。
超兵器を失った異邦艦隊など烏合の衆といってよく、統率のとれた霧の艦隊の前に徐々に駆逐されていくことになる。あとは、ただの掃討作戦。悪く言えば霧にとってただの単純作業と化していた。
そして、南洋諸島海域の維持を、余力のある霧の太平洋派遣予備艦隊に任せて、群像たちは一先ず母港のある硫黄島、またはハシラジマに帰還することになる。
霧と蒼き鋼の連合艦隊は確かに勝利したが、失ったものも大きく部隊再編が必要だった。
◇ ◇ ◇
硫黄島にあるヒュウガ謹製のドック施設で、イオナやタカオを始めとする蒼き鋼の艦隊は、それぞれの船体をヒュウガ自身の手で修復されている。同時に先の海戦で得た超兵器との戦闘データを元に、ヒュウガは大幅な改良を施すつもりだった。
沈没させた敵艦隊をサルベージして残された部品や残骸から、敵の戦闘機能をこちら側に取り込むのだ。特に味方として現れた異方艦。大和型すら凌駕するドリル戦艦の残骸を入手できたのは大きい。
ヒュウガが着目するのは、こちらとは違うシステムで構築された防御システムを始めとする戦闘補助機能の数々。すなわち防御重力場や電磁防壁による実弾、エネルギー双方に対する防御システム。そして圧倒的な装填速度をもたらした自動装填装置を解析することによる攻撃能力の向上。さらに高性能化する船体の能力をさらに底上げする謎の装置などの解析。
他にも見るべき点はある。向こう側が搭載していた光学兵器だ。
こちらが主兵装とする過電粒子砲やパルスガンをよりも多彩な兵装は、その機能も多種多様で独特なものが多い。残骸データから読み取れたカニ光線やにゃんこレーザーなどふざけた名称も多いが、その性能は本物だ。εレーザーなどは、霧の艦隊が持たないレーザー偏光システムを完全にしているのだ。それにともなく大幅な威力減衰も解決し、完全にものにしている。
とにかく霧の艦隊の兵装も負けていないが、向こうの兵装も負けていない点は大いにあるという事。
それらを実用化して、こちら側に組み込むことができれば、霧の艦隊の戦闘能力は大幅に向上するだろうとヒュウガは目算をつけている。実際に二人の総旗艦の大幅な支援体制を約束してくれている。同様の処置はハシラジマでも行われているだろう。向こうにはアカシもいるだろうし、きっと欧州や太平洋でも同様のことが行われているだろう。
「ああもう、これらの兵装をイオナ姉さまに搭載したら、完全無敵無敗の軍神イオナ姉さまが誕生して、その雄姿を想像するだけでヒュウガは! ヒュウガは! ふへへへ、妄想が止まらない」
自身の躯体から涎を垂らしながら、展開した多機能卵型ポッドの上で、目にも止まらぬ速さで空間キーデバイスを叩き込むヒュウガ。彼女の周囲には、多種多様の空間モニターが展開され、それらの画面が高速でスクロールする度に、ドックで接続されたイオナやタカオの船体に対して大型稼働アームやチビメンタルモデルが何らかの手を加えていく。
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