第12話
あれから数ヶ月後、俺は最低限の日常生活ができるまで回復し、リハビリも進んできていた。
しかし、以前のように戦闘しようとしても体がついて行かず、リハビリとしてやらせてもらった戦闘訓練の結果も散々なものだった。
前にドクターとやらにオペレーターとして採用されるという案を出されたが、俺以外の小隊員が次々受かる中、俺は採用試験に落ち続けていた。
これでは隊長としての威厳が丸つぶれになってしまう。
いやもう潰れてる気しかしないのだが、それでもみんなは俺の事を慕ってくれているし、俺なら受かれると言ってきてくれている。
俺はその期待に答えないといけないし、俺には全員を護れるような力をもつ義務が隊長としてある。
そんな俺がこんな調子だとダメだ、そう思い、俺は1人、ロドスのトレーニングルームにこもりきっていた。
それにしても、元は敵だった上にまだロドスの一員でもない俺にトレーニングルームを貸してくれている事はありがたいが、一体なぜそこまでしてくれるのだろうか。
そう思いながら筋トレをしていると、ロドスの制服を着て仮面で顔を隠している、ベージュの髪の鬼と思われる種族の男が、俺の隣のトレーニング器具を使い始めた。
「…あんた、ロドスのオペレーターか?」
「ん?ああ、重装オペレーターをやってる。お前は……ああ、もしかして前に重症で運び込まれたレユニオンの隊長か?」
「ああ、もう既にレユニオンでは俺たちが死んだ扱いになってるだろうがな」
そう短い会話を交わし、2人して黙々とトレーニングを続けていると、隣の重装オペレーターが、
「…そういえば何でお前はトレーニングをしてるんだ?まだ身体も万全って訳じゃないだろう」
「……確かに、まだ最低限の事しか出来ない、だが俺には仲間を護る義務があるんだ、早くオペレーター試験にも受からねぇと威厳もクソもない」
「なるほどな、なら尚更先に身体を万全にした方がいいんじゃないのか?」
「それを待ってる時間がないんだ、早くイツキたちを守れるようにならないと……!」
そう俺が言うと、隣のオペレーターははぁ…と大きなため息をつき、
「なぁ、そんなに焦ってどうするんだ?焦ってトレーニングしても何も変わらないぜ」
と、言ってきた。
「焦ってなんかない、ただ俺は…」
「…お前はなんだ?」
「……俺は、ただみんなを護りたいだけだ」
そう言うと、男ははぁとため息をついて、
「なら、尚更身体は万全な状態にした方がいい、そんな身体じゃオペレーターになっても誰も護れやしねぇよ」
そうオペレーターは言うと、トレーニングしていた手を止め、トレーニングルームに入ってきた、仮面をつけた女性に声をかけた。
そして少し会話した後、その女性と別れると、重装オペレーターの男はタオルで汗を拭きながら、
「悪ぃ、ドクターに製造所の仕事頼まれたから行ってくるわ」
と、言ってきた。
「…ああ、わかった。そうだ、あんた、名前は?」
「俺か?俺はノイルホーンだ、まあ何かあったら聞きに来い、先輩オペレーターとして色々教えてやるよ」
そうノイルホーンは言うと、トレーニングルームから出ていった。
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