ハーメルン
レベルアップで世界最強
幕間 地上の勇者達
因みに吸血鬼族は約三百年前に絶滅した。
ユエという最強の切り札を失ったからだろうか? いや、不意をついたとはいえユエを封印しオルクスの50階層、上に戻れない性質を考えればオルクスを攻略する程の強者が居るのだ。それは考えにくい。となれば、ユエを封じた叔父ですら敵わぬ何かが現れたということだろうか?
その辺について何か知らないかとハジメが尋ねればユエは困惑した。それはそうだ、恵里が言う殺す方法が実行されず、ハジメの言うようにオルクスを踏破できる強者が居て、滅んだ。それではまるで、ユエを何かから逃がそうとした可能性すらある。
「知らない。私は、そんなの………」
ハジメや恵里視点から見れば、ユエの力は奈落を一人で攻略出来るようには見えない。そうなれば個にしろ個人の軍にしろ、その叔父はユエを超える力を持っていた事になる。
そんな存在は知らないし、そんな存在を滅ぼせる奴等だって知らない。
「ふ、二人はどうしてここに居るの?」
と、ユエが話題をそらした。ハジメは少し嫌そうな顔をしてここに来る経緯を話した。
「ハジメ、その女、すごく危険」
「それにゃ同意するが。まあ、惚れた弱みだ」
そう言ってしなだれかかる恵里を抱き寄せながら言い切るハジメに、ユエは何とも言えない顔をする。恵里はとても幸せそうだ。
そんな二人を寝かせ、ハジメは簡易拠点の外に出る。拠点には封印部屋を使おうと思ったのがユエが拒否したのだ。
ハジメは改めて封印部屋の中央に来ると『システムウィンドウ』を開きメッセージを選択する。
『クエスト案内』
『転職クエスト』が届きました
『転職クエストを受けますか?
《 YES / NO 》
当然YESを選択する。と、目の前にバチバチと音を立てながら光の渦が発生する。渦は少しずつ巨大化していき人一人が余裕で通れるぐらいの大きさになる。
「さあて、行きますか…………」
時を戻そう。
ハジメと恵里が奈落の底へと落ちた日は、全員が宿で眠った。その次の日に、王都へと帰還した。誰もまた迷宮に潜ろうなどと思えなかったし、勇者一行の2名が死んだことを報告しなくてはならないからだ。
「オルクスにて2名、死者が出ました」
メルドの言葉に王国の貴族や教会の重鎮達はざわつく。それはそうだ、彼等にとって勇者とその仲間達は自分達を魔人族との戦争の勝利に導く存在。そんな勇者の仲間が、まだ魔人族と開戦前に死ぬなど冗談ではない。
「い、一体誰がなくなったのかね………」
この場に居るのはメルド以外では光輝、龍太郎、雫の3人。つまり勇者と一行の中でもトップクラスの者達は無事。そこは一先ず安心だが…………
「中村恵里、南雲ハジメの2名です」
「なんと、中村殿が……!」「何ということだ、降霊術師として類まれな才能は、汚らわしい魔人族共の戦力すら奪えたかもしれぬのに」「口惜しい、何故死なせた! お前は何をやっていた!」
口々に恵里の死を責める貴族や重鎮達。不意に、貴族の誰かが言った。
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