ハーメルン
93話 仲間

モリアと面会中のギオンの電伝虫が鳴き始めたので、伝令として彼女に付き従っているイスカが出る。

『もしもし、こちらギオンよ。』

伝令はあくまで付き従う隊長の代わりに応答するので、ギオン宛の電話にはギオンの名前で出るのが通話要領である。
第二部隊ではゴジ宛の電話をカリファが出る時は『もしもし、こちらはゴジ少将です。伝令のカリファが要件承ります。』と丁寧に答えており、こう言った点が“秘書”と呼ばれる所以であるが、正式にはイスカのが返答が正しい。

『イスカさん、ギオンさんにお伝え願います。実は──。』

当然その通話要領を知っているアインは先程起こった出来事を全てありのまま伝えた。

『分かりました。丁度隊長(ギオン)もゲッコー・モリアも聞いているから大丈夫よ。アインお疲れ様。』

イスカはアインのスリラーバーク海賊団の幹部アブサロムの無力化とモリアの捕らえた海賊達の撃退について、一部始終手際を褒める。

「アブサロムの馬鹿野郎め…。」

モリアはアインの通話を聞きながら、部下(アブサロム)の性格を熟知しているので、美女揃いのジェガートの誰かに一目惚れして“干支戻し”のアインに撃退されたのだと確信して両手で頭を抱えている。

『はっ!では、私達はこのまま海賊達の襲撃に備えます。』

通話を終えてギオンがモリアを睨む。

「“墓場”のアブサロムは恩赦を与えているあんたの部下だね?襲われたアインが不問に付すと言ってるからとりあえず見逃すけど…次はないよ?」
「ちっ…!?あの馬鹿め!!」

モリアは何も言い返せずに後でアブサロムをしめようと心に誓った。

「でも、あんたが私達との約束通りに海賊だけを襲っているのは間違いないみたいだね?」

アインが海軍の軍艦を見て集まってきた人が全員海賊である事を確認してくれたので、ギオンがゴジから頼まれた仕事はほぼ片付いていた。

「あぁ。この海域に潜入した海賊は全部俺の獲物だ。ここにいりゃ勝手に獲物が飛び込んでくるのに、わざわざ他所へ行くわけねぇだろうが!?」

モリアのカゲカゲの実の能力で影を奪う際、その影の持ち主の力や性格が入れ物となったゾンビににも反映されるので、弱い一般人から影を奪うメリットは何処にもない。

「仲間が他所から連れて来る可能性だってあるだろう?」

ゴジはモリアとドフラミンゴが裏で繋がっており、『ドレスローザの反乱分子を捕獲し、この海域まで連れて来てモリアが影を抜きとってオモチャに入れている。』ことを示唆していたのだ。
ギオンはそれを探る為にここに来ている。影を奪ったドレスローザ国民を何処かに幽閉している可能性を探っている。

「仲間だと!?」

ギオンはモリアの地雷を踏んでしまった。
モリアから圧倒的な殺気がギオンに放たれ、平気そうなギオンとは別にイスカは少し息苦しそうにする。

「仲間なんざ生きてるから失うんだ。ここにいる奴ら以外に俺に仲間なんざいる訳ねぇだろうが!!」

彼はかつてゲッコー海賊団という全く別の海賊団を率い、当時は自力の過信と野心に満ちており、“百獣”のカイドウを相手取れるほどの海賊であった。

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