ハーメルン
Metal Gear Solid/ Ark of ■■■■
10−1
3月10日 AM 09:00 ロドス本艦 深層フロア 格闘訓練室
ジェシカを介してベンギン急便から銃を入手したスネークは、翌日からジェシカに対してCQCの技術教練を施し始めた。彼女が実力を発揮できない最大のネックは技術力ではなく、自信がないことからくる臆病さであることから、格闘戦もこなせる人材となることで選択肢の幅が増える自覚を彼女に与えることがスネークの目的だ。
基礎体力については問題はないこと、身体操作は射撃に関しては一問題ないものの、格闘戦の方はからっきしであることは事前に把握しているため、この3日間はひたすら受け身の取り方をマスターさせた。
『近接戦闘において最大の問題になるのは緊張だ』
『そ、それは射撃でも同じなのでは?』
『銃の場合は身体がある程度硬いことは正確な射撃に繋がる、過度な緊張は無論問題だが、ある程度ならそれはプラスになる。だが近接戦闘において求められるのは脱力だ』
『リ、リラックスってことですか』
『そうだ。だがいくら口で力を抜けと言っても、殴り合ったこともないお前にとっては人と間近で対峙して触れるだけでも力が入るはずだ』
『……正直、丸腰でスネークさんの正面に立つだけで怖いです』
『まあ最初はそんなもんだ。そこでまずは、人と組むことに慣れてもらう、あとは怪我しないための技術の習得だな』
『わかりました……えっと、ちなみになんですが』
『組むのは俺だ、本来なら体格差が無い方が最初はやりやすいが、慣れてしまえば練習には何の問題もない』
『わ、わかりましたぁ』
そう言って、格闘訓練室の一角にある床にマットが敷かれている部屋で数時間ほど受け身を取る練習をこなした。彼女はスネークが受け身の方法を見せて実践させるだけで、1時間もかからず受け身を習得した。人のやり方を真似て身体の扱いを覚えるのが得意なのかもしれない。
リスカムが言うには、ジェシカの射撃姿勢はBSWで教法として動画にもなっているらしい。実際、彼女の射撃姿勢に関してはスネークが意見を挟む余地はなかったし、受け身もきれいだった。
『なかなか良い筋だ、なら次は実際に受け身をとれ』
『わっわかりました』
『そう緊張することはない、怪我にも繋がるからな。とりあえず投げられた後も自然体で立っていればいい』
『自然体ですか……こんな感じでしょうか?』
『無理に重心を体の中心に持っていく必要ない、楽な姿勢で構わん。投げ方は俺が合わせるだけだからな』
『わ、わかりました』
『準備ができたら言ってくれ』
『・・・いつでも大丈夫です!』
『そうか』
その瞬間、ジェシカの視界は一回転する
あまりにも一瞬の出来事で自分が投げられたのだと自覚することはなかった
が、背中が地面を向いている感覚から反射的に受け身を取ることができた
パシンッ! とキレイに体が打ち付けられる音が響く
『……えっ?』
『いつまで倒れてる、早く起き上がれ』
『……あっ!すいませんっすぐ起き上がります!』
呆然としているのも束の間、スネークから声をかけられ慌てて立ち上がるジェシカ
そして立ち上がった勢いのまま再び身体が宙を一回転
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