ハーメルン
ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする
18話 牛魔王の奥様は人造人間
悟空と会い、パオズ山から西の都に帰った数日後、悪もまた動きだしていた。
「そろそろのはずだが……」
背の高いスキンヘッドの黒人、ブラック補佐は街から離れた谷に護衛の兵士と共に取引相手を待っていた。
「ブラック補佐っ、上です!」
その護衛の兵士の一人が、音もなく谷を降りてくる人影に気が付いた。
「ペッペッペ……時間通りに来ていただけて喜ばしいばかりだッペ」
そこに居たのは、もっさりしたアフロヘアにサングラスをかけた小太りな男だった。
「……ドクターフラッペ、お初にお目にかかる。だが、兵士たちをあまり驚かせないで欲しい」
「ペッペッペ、これは失礼。取引に応じていただき、感謝しているっペ」
そう、彼こそがドクターフラッペ。天才科学者であるゲロがレッドリボン軍とコンタクトを取るために作った、本当は存在しない悪の科学者である。
(今にして思うと、キャラを作り過ぎたかもしれんな)
なのでもちろんその正体はこの儂、天才科学者のドクターゲロである。変装用の特殊なカツラにボイスチェンジャー付きマスク、スーツを装着しているため、まず見ただけでは……いや、直接触れ検査機器で調べたとしても、まずばれる事は無い。……かなり気合を入れて開発したからの。
「空を飛んでいたようだったが?」
「それは反重力装置だッペ。欲しければ、次回の取引で売っても構わないッペよ?」
このボイスチェンジャーは、儂の声を自動的にフラッペ訛りに変換してくれる便利仕様となっている。反重力装置と言うのは嘘だが。
「いや、今は結構。それで、我がレッドリボン軍に戦闘用ロボットを売りたいそうだが……何故だ?」
「ペッペッペ、恥ずかしながら資金難だッペ。桃白白に勝てる新型ロボットの構想は既にボクの頭の中にあるっペが、実際に開発するには十分な資金が必要不可欠だッペ」
と言う筋描きである。
「なるほど……それで、開発したロボットも次の取引で我が軍に売ってくれるのか?」
「それはチミ達次第だッペ。それに、まずは最初の取引に対して誠実さを見せてほしいッペ」
「分かった。おいっ」
ブラック補佐が兵士たちに向かって顎をしゃくると、彼らが乗ってきた軍用トラックの内一台が儂(フラッペ)の横で停車する。
「荷台に代金の百億ゼニー相当の貴金属が入っている」
一つの取引で百億ゼニー……前世の通貨に換算して百億円。世界的超企業の会長をしていなければ、想像も出来ない大金だ。
しかし、戦車やジェット戦闘機より高性能な戦闘用ロボット数十機の値段としては格安だろう。しかし、貴金属?
「現金を指定したはずだッペ」
「すまないが、大量の現金を用意するのに手間取ってしまった。迷惑料代わりに一割ほど上乗せしてある」
悪びれもせずそう言うブラック補佐だが、おそらくフラッペが貴金属を換金する際に自分達が追跡出来る物を幾つか混ぜているのだろう。
それでフラッペの正体を探り、判明した情報を交渉材料にして次回以降の取引を有利に進めようというのだろう。
「……なら、構わないッペ」
ただ、儂は今回の取引で手に入れた資金はレッドリボン軍が壊滅するまで寝かせておくつもりだから、何を企んだとしても構わんが。発信機が紛れ込んでいたとしても、ジャミングするので問題ない。
「では、これが約束の品だッペ」
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