ハーメルン
綺麗なお姉様が真っ赤な顔してプルプルするの最高だよね
お姉様、鬼になる
「クロは最近どうしてるの?」
「いつも同じです。城で修行してるか、討伐隊と共にするか……最近は討伐隊と同行が多いですかね」
「ふーん、討伐が多いって冒険者は?」
「勿論頑張っているみたいですけど、アートリスと比べると一段劣りますから。軍が強いのも善し悪しです。西部の山岳地帯とか、東部の海岸沿は手が回ってないのが実情ですね。その分軍の練度は上がって、最近は中々ですよ?」
「ふふふ……頑張ってるのね。偉い偉い」
クロの金髪はツヤツヤで癖っ毛もない。撫で撫でしてると、昔飼ってたゴールデンレトリバーのゴン太を思い出すんだよなー。
クロくらいの年齢なら撫でられるのを嫌がりそうなものだけど、そんな様子は無くて目を細めてる。ますますゴン太っぽい。
「勇者としてはまだまだです。魔王には敵いそうもないですし……お師匠様と結婚するのはまだ先ですね」
ゴン太を幻視してホンワカしてたのに、思わず手を引いてしまう。
「クロ……それは断ったでしょう? 私は誰とも結婚しませんから」
「今はそれでいいですよ? 女性の我儘を受け入れるのも男の器ですから。未来は決まっています」
駄目だ……話が通じない……
「はあ…… 貴方なら王国や貴族から話が来てるでしょう? もう少し周りを見てみなさい」
「確かに幾つか縁談の話は来ていますね。ある伯爵の娘なんて、僕の後を付けたり、探し回ったり、この前なんていきなり抱き付かれましたから……非常識な娘です、本当に」
お、ま、え、が言うな!! 鏡を見ろよ! なんでストーカーは自らを省みないんだよ!?
「アートリスに来る前にキッパリと断りましたから、もう大丈夫でしょう。僕にはお師匠様がいますからね」
「……どう断ったの?」
「勿論、心に決めた人がいるとハッキリ言いましたよ?」
凄く嫌な予感がするんだが!
「まさか……名前とか言ってないよね……?」
「心配しないで下さい。名前だけでは伝わりませんから、お師匠様の大好きなところも全部言いましたよ! 当然です!」
「アホかーーー!!」
スパーーーーーン!!
「痛い! お師匠様、なんで叩くんですか!?」
「当たり前でしょう!? 私は今から王都に行くのよ!? その人に会ったらどんな顔すれば良いのよ! ……って言うか、私は関係ないし!」
絶対アレだよね! おーほっほっ!とかの笑い声で、扇子とか口元に当てながら近くに執事とか居る人だよね!? お嬢様とか言われてさぁ!
「大丈夫です。その辺りは計算済みですから」
「どんな?」
「簡単です。お師匠様の美貌と力を見れば、直ぐに諦めるでしょう」
「この、おバカーーー!」
スパパーーーーーン!!
「イタタッ!! お師匠様、普通の人なら頭が吹き飛んでますからね!?」
あ、あかん……絶対フラグ立ってるよ……うぅ、只でさえ面倒なのに!
このイケメンショタめ……そんなに嫌なら代わってくれよ! 俺だって可愛い女の子からモテてみたかった‼︎
「……お姉様、どうしました?」
「あっ……ごめんね、起こしちゃった?」
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