8スレその2
休暇をもらって二日目。
残り一日で有給がなくなり、また出勤をしなくてはいけなくなる。
昨日は部屋の掃除で丸一日取られたので実質今日から休みのようなものだ。
家具が少ない我が家でも放っておけばあれだけ掃除しなくてはいけなかったのだ。
もし人並みに生活感があれば、どれだけ長い時間掃除させられることになるか背筋が寒くなる。
....まぁ、生活感が出るほど家に住めていればそもそも散らかることもないのだが。
お昼時、男はある場所へと歩みを進めていた。
そして目的の場所に着くと歩みを止める。
そこはラ・ピュセルと書かれた看板。
彼が以前訪れた店の一つだった。
久方振りのスイーツだ。
今日は食えるだけ食うぞ~。
てか余裕があれば二軒目はしごとか良いかもなぁ。
これからの予定から期待に胸を膨らませつつ、ドアノブに手を掛ける。
扉を開けると鈴の音が男の来店を報せ、店員がいらっしゃいませと声を響かせた。
店員に店内で飲食する旨を伝えて、喫茶店スペースの席へと案内される。
今日は休日の昼下がりだからか中々人が多い。
そう考えると自分は休日でもバリバリ働いていたのだと実感させられる。
喫茶店スペースはもう座る席ないのではないかと思う程の盛況具合だ。
これは最早諦めた方が良い気がする。
すると店員が座る席を見つけようと探してくれる。
そして偶然にも入れ違いで空いた席を見つけてくれたようで、勧められるままに男は席に座った。
メニューを眺めると、どうやら前とは違って季節のパンケーキの品目が変わっている。
これは興味深い。
だが、今回はこの前食べることが出来なかったパフェを食べると決めていたのだ。
パフェはそのお店自体を表すと言っても過言ではない。
ケーキがこんなにもおいしいのだから、ここのパフェは言わずもがな。
それをいつまでも食べずにいるのは甘味に対する冒涜ではないだろうか。
瞬間、男に電流走る。
生憎自分は今日まで休みなく働いてきた。
なので手持ちのお金には困っていない。
それに時間なんか今は余っていると言っても良い。
加えてこの時の為に、なんと朝と昼で飯を抜いてきている。
それならば食べたい物を全て食べてしまうというのはどうだろう。
...そうだ、それがいい。
これほどまでの贅沢はしたことがない。
これは頑張ってきた自分へのご褒美なのだ。
それくらいはしても良いだろう。
そうと決まれば手を挙げて店員を呼ぶ。
店員がしばらくして駆け寄ってきて注文を聞く。
「すいません、この季節のパンケーキクリーム盛りとイチゴと桃の爽やかパフェとフレンチトーストほうじ茶アイス付き、それとカフェオレを下さい。」
「かしこまりました!しばらくお待ちください!」
そう言うと彼女は厨房の方へと歩いていく。
期待に胸を膨らませていると、一つの事が頭に残った。
さっきの注文を聞いていた店員だ。
あの顔をどこかで見たような...。
そう、それは捕虜として捕まえた青い魔法少女、彼女の携帯電話のアルバムで見た覚えある。
それも青いあの子と仲良さげにツーショットで仲良く写っていた写真が多かったような.....。
そうか、そういうことか。
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