①
≪As to the potential of the ANIMA≫
≪Observation by 蜈?ココ蠖「≫
海。
広大な海。
情報に満ちた海。
情報。無数のセカイ線。
無数のセカイ線がひしめく海を私は彷徨っている。
遥か昔からずっとこうしている。
昔過ぎて、私という存在がいつ、どのように発生したのか思い出すことはできない。
気付いたときにはもう、セカイ線の合間を縫うように漂い続けていた。
一つのセカイ線を覗いて、次のセカイ線を覗いて、また次のセカイ線を覗いて、その次、更に次、次、次、次………。
何かを探し出すことが私の存在理由。
なのに、そもそも何を探すべきなのかさえわからない。
悠久の彷徨を経て、私という存在は緩やかに消滅に向かっている。
魂に刻み付けられた、諦めを戒める思念だけが私を生き永らえさせている。
理由も意味も分からない彷徨。このまま消え失せてしまって何の問題が有るのか。
わからない。
私は一体何を探しているのか。
わからない。
わからないまま彷徨い続ける。
ひたすら漂い続ける。
ただ、見つければそれとわかる確信だけはある。
一体幾つのセカイを覗いてきただろう。数えようとするのすら莫迦莫迦しい数だ。
億劫だ。何もかも億劫。
私の魂は限界だ。
今回の“限界”は本当の限界だ。
もう終わりにしてしまおう。
そう決心した。
今度こそ本当に……。
だが。そのときだった。
近傍のセカイ線から、ある特異な波動を感知した。
≪Review by Asuka≫
たとえば“運命”と“宿命”というワード。
人知を超えた巡り合わせとか前世の業が関係しているとかの違いはあるけれど、極めて端的に身も蓋も無くそして雑にいうと、両方とも“なるべくしてなる(なった)”という事象を表すワードだ。この二つを換言して“神の筋書き”と言うこともある。“神のシナリオ”や“神の台本”などとする場合もあるかもしれない。
ここまでは、まぁ、いい。いずれにしても、背景に壮大な物語を感じさせてくれるから。
しかしこれを単に“筋書き”や“シナリオ”や“台本”と呼んでしまうと話は別だ。意味合いとしてはそう変わらないのは事実である一方、確実に神秘性とでもいうべきものが失われ、“お仕着せ感”が出てしまう。役者個人の意思は関係なく、決められたタイミングで決められた言葉を吐く見世物。それが演劇というエンターテイメントだが、同じことを劇場の外でやらされるとなるとたまったものじゃない。それはもう人の生とは言えない。
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