16話
「ふふっ、ようやく艦娘らしい生き方が出来そうだね。分かった、私は司令官を信用するよ。これから宜しくね。」
「ああ、こちらこそ宜しくな。」
そう言って笑う響と握手を交わし、響の信頼を得ることに成功した。正直復讐が目的だと知られたら警戒されると思っていたが、響は受け入れてくれたようだ。この調子で他の艦娘達からの信頼も得たいところだ。
「さて、それでは前任者について知ってることを教えてくれないか?」
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そこから響が語った内容も悲惨だった。駆逐艦や軽巡洋艦は消耗品のような扱いをされて、頻繁に轟沈しているので長く在籍している者は少ないこと。任務に失敗すれば罵声と共に鞭で叩かれること。反抗的な艦娘は拷問され、酷い場合はその姿を姉妹艦に見せつけたり、目の前で解体するなどもしていたらしい。提督の気分次第で艦娘を犯し、戦艦と正規空母以外は接待にも使われていたらしい。提督自身は子供に興味が無かったらしいが、この街の市長がロリコンらしく、暁型姉妹を守る為に響が一人で相手をしていたらしい。
とにかく悪事が次から次へと出てきて頭が痛くなる。よくもこれ程までにやったものだ・・・
「なあ響、一つ気になったんだが、消耗品のような扱いをされていたらしいが、雷は危険な時は応援を送ってくれたと言っていたな。その辺はどうなっているんだ?」
「そこは私が上手くやってたからね。前の司令官は言い方一つで誤魔化せたりしたから。」
「どういうことだ?」
「例えば遠征中に敵艦隊に遭遇した時に、敵艦隊に遭遇したから資材を捨てて撤退したいって報告したら、私達が無能だと怒って無理にでも資材を運べって言われるんだよ。」
「はあ・・・相変わらずな奴だな・・・」
「だから敵艦隊の捕捉に成功した、観察を続けるので主力艦隊で撃破する好機ですって報告するんだ。そしたら意気揚々と主力艦隊を送ってくれたよ。」
「子供に子供騙しで騙される奴なのか・・・
もし敵に発見された場合は?」
「その時は私達が囮になって敵を誘き寄せるから、主力艦隊で撃破して欲しいって言って、資材を捨てて全力で逃げるんだよ。」
「それは・・・資材を捨てて怒らなかったのか?」
「主力艦隊で勝利して気分が良い時なら、資材のことなんか忘れてるよ。だから何も報告せずに帰投するのさ。」
「なんと言うか・・・したたかだな。」
「こっちは命懸けだからね。」
「私の指揮下ではそんな真似はするなよ?」
「もちろんだよ。その代わりちゃんと応援を送って欲しいな。」
「そこは任された。では長くなったが話はこのくらいにしておこう。また話したいことがあったら声をかけてくれ。」
「スパシーバ、提督。」
そう言って響が退室し、第六駆逐隊との面談が終わった。
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