ハーメルン
疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建
17話


「はい、頑張ります!」

 そう言って雪風は島風と一緒に作業に戻っていく。二人とも小さな少女ではあるが、難なく荷運びをしているのを見ると、やはり艦娘なのだなぁと感じる。

「なあ、提督。相談があるのだが。良いだろうか?」

「どうした?」

「荷物を全て運び出して調査しろとの命令だったが、これをどうやって調査すれば良いのか分からずに困っていてな・・・」

 そう言って長門が指差したのは、前任者の石像だった。等身大の大きさの石像なのでかなり重いが、艦娘の出力なら運ぶのはなんとかなると思う。しかしこの大きさなら細工をして、何かを隠している可能性がある。

「石像も台座も調べておきたいところだな。」

「お、提督じゃねぇか。なんだよ、俺達はちゃんと働いてるぜ。」

 天龍か・・・ちょうど良い。

「ちょうど良いところに来たな。頼みたい仕事がある。」

「なんだよ?変な仕事ならやらないからな?」

「この石像なんだが・・・」

「その趣味が悪い石像がなんだよ、はっきり言って触りたくねぇんだがよ?」

「叩き壊せ」

「・・・は?」

 分かりやすく命令したつもりだったが、聞き取れなかったのだろうか?天龍は呆けた顔をしている。

「だから叩き壊せ。必要なら艤装の使用も許可しよう。」

「おいおい、マジかよ。」

「ああ、だが周囲の邪魔にならないところで作業して欲しいのと、中に何か入ってる可能性があるから、砲撃はやめて欲しい。出来るか?」

「ヘッ!そういうことならこの天龍様に任せな!!思いっきりぶっ壊してやるぜ!!」

 大喜びで艤装を取りに行く天龍を見送ると、長門が心配そうな顔で声をかけてくる。

「なあ、提督。本当に良かったのか?」

「もちろんだ。あんな小太りのおっさんがモチーフの石像に価値なんか無い。それに隠された細工を探して解除するなんて面倒だからな。それに前任者には散々迷惑をかけられているのだ。憂さ晴らしくらいしたくもなる。」

「そうか・・・提督がそう言うなら良い。」

「では陸奥のほうの様子を見に行くから、ここは任せたぞ。」

「了解した。」

 苦笑いしていた長門を背に、倉庫の方へ向かって歩いて行く。少しだけ気分が良いな。

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