ハーメルン
犯罪多重奇頁 米花
死者の食卓04

「へ~そうなんだ」
「「聖女」と呼ばれるよりずっと素敵な呼び名だわ。私は聖女なんて性格じゃないもの。ほら、できたわよ」

 咄嗟に無知を装ったが、イギリスの敵として描写されたジャンヌ・ダルクが由来なら、確かに「魔女」と呼ばれるのも納得できる。
 ジャンヌ・エリス・オルタはフランスからやって来たと言っていた、エドモン・ダンテスも恐らくフランス人……日本に来る前から、2人は面識があったのか。
 少しの探りを入れたところで、本題に移ろう。

〇月曜日
紺野大策(那須野の幼馴染、実業家)
・滞在時間:午後2時過ぎ~午後3時
・那須野に呼び出され、お礼として彫刻を受け取っている
・来る途中に参道ひとみの車とすれ違った
〇火曜日
別府時哉(レストランオーナー)
・滞在時間:午後3時頃~日が暮れる前
・那須野からワインを譲り受けた
・大雨を警戒して日が暮れる前に山を下りた
〇水曜日
根岸浩樹(編集者)
・滞在時間:午前8時を少し過ぎた頃~午前8時半
・那須野のエッセイ原稿を回収した
・那須野は寝室で寝ていて、テーブルの上には原稿だけ置いてあった

『ん……っ、そうか! だからあの人は料理を並べたのか』

 コナンの中の記憶と、ホワイトボードの情報が合致して一つの真実が構築される。
 やはり那須野の死は他殺だ。犯人は殺意を持って那須野を突き飛ばし、テーブルの上に料理を並べたのだ。
 ちらりと視線を移して周囲を確認すると、安室もこの事件の真実に気付いたように笑みを浮かべている。エドモンは煙草を咥えながらスマートフォンを手に、何かを確認しながら立香と話をしている。
 この場にいる探偵たちは、既に真実にたどり着いたのだ……ただ1人を除いて。

「うーむ……まさか、根岸さんが見た那須野氏さんは犯人の偽物で、根岸さんが帰った後で料理を……」
『駄目だこのおっちゃん。全然気付いてねぇ。いつもなら麻酔銃で眠らせて、眠りの小五郎にするところだけど……』

 今日は安室がいる。
 黒組織が一員、探り屋・バーボンこと安室透。
 またの名を、公安警察の潜入捜査員、降谷零。
 彼の前で「眠りの小五郎」を登場させればコナンの正体に気付かれる恐れがある。
 それに今日は安室だけではない。『カルデア探偵局』……正体の分らぬ組織がいる場で、コナンが推理するにはリスクが高い。

『こうなりゃ、ヒントを出しておっちゃん本人に気付いてもらうしかねーな』

 見た目は子供、頭脳は大人な名探偵も大変なのである。

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