ハーメルン
ガンダムビルドダイバーズ Re:TURN:TYPE
『地球から光の速度で何十年もかかるほど彼方の知的生命体』とは何か
宇宙は広大である。
星よりも大きな生命体が居たところで、宇宙全体から見れば小粒でしかない。
宇宙は大まか粒子と波動によって構築されており、一部は粒子と波動の両方の性質を持っているとも考えられている。
地球生物はほとんどが波動を利用する粒子で出来た生命である。
そんな地球の知的生命体は、古来から粒子を体の組成に用いない、波動によってのみ存在する生命体を想像してきた。
地球人類から見て上位に存在する生命体。
遥けき進化の果ての上帝
(
オーバーロード
)
。
心だけで生きる者
(
オーバーマインド
)
。
波動生命体。
情報思念生命体。
宇宙は無限ゆえに、人類の想像そのままの、あるいはそれを超越した生命が存在する。
エヴィデンス01が、それだった。
「……」
かつて、彼の種族は、地球人に似た精神の生命であったという。
それが三段階を経て、今の波動生命体となった。
地球に普通に存在する空間結晶、地球の最先端科学で研究されている時間結晶、その先にある情報構造体による情報結晶により、彼の一族は戦闘を行わない限り不老不死であり、また永久機関にあたる機能を持っていた。
その上でまだ、彼らは進化しようとし続けている。
その三段階の進化の詳細を、彼は知っている。
それゆえ、自らの種族を蔑している。
地球で話題に出す時、彼は度々、三段階それぞれの時代の自分の種族のことを語る。
『私達の種族も宇宙全体で見れば下位の種族だ』という彼の自嘲は、嘘でもなんでもない。
彼の種族は以前、より上位の生命体によって絶滅の危機に逢い、それから長い年月をかけて再興している最中だった。
獣の枠を超えたのが地球人類。
星の枠を超えたのがエヴィデンス01の一族。
であれば、もっと上の生命もいる。
エヴィデンス01の一族は地球人から見れば神であったが、宇宙全体で見ればアリに等しい。
エヴィデンス01の本体が地球人をアリのように踏み潰せるように、更に上位の生命体は、エヴィデンス01の一族を踏み潰すことができるのだ。
だからこそ。
エヴィデンス01の一族は、自分達を無敵の種族だなどと思っていない。
彼らは、大敵を恐れている。
自分達がいくら進化しても、進化する前に自分達を滅ぼしかけたものを、恐れている。
『―――』
「はい。問題はありません。で、あれば、調査を続行します」
エヴィデンス01は、地球概念でたとえるなら、自分の上司にあたる生命体と話し始めた。
彼はまだ、地球に関する報告をしていない。
全ての情報が確定してから報告するのが、彼の一族の慣例だった。
『―――』
「……! エルドラが!? まさか、そういうことでしたか……」
彼の一族は三段階の進化を遂げた。
その中で、第二段階の頃、彼らが侵攻した星があった。
その星の名を、『エルドラ』と言う。
『―――』
「確かにこちらにも影響はありました。
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