ハーメルン
ガンダムビルドダイバーズ Re:TURN:TYPE
『同化と調節』とは何か
エヴィデンス01とメイが出会ったのは、初心者がたむろする広場を見下ろせる森の中だった。
今日も森は穏やかで、暖かな日差しが差し込み、涼やかな風が吹いている。
ゆったりと本のページをめくるエヴィデンス01が顔を上げると、木々の合間からメイがその姿を現した。
初めて出会った場所で、また二人は言葉を交わす。
「やはりここに居たか」
「メイ」
「少し話さないか?」
「いつもそこに置いてある椅子は君専用だ」
「そうか」
白銀の青年と、漆黒の美女が椅子に座って並ぶ。
風に揺れる白銀の長髪と、漆黒の長髪が触れる。
先が光を素通しするエヴィデンス01の髪が、メイは嫌いではなかった。
光を通さないメイの漆黒の髪が、エヴィデンス01は好きだった。
「エビ。私は、私が今抱えている戦いにおいて、お前を頼らないことを決めた」
「で、あるか」
「その上で、全てが終わった後、お前に勝利の報告をすることに決めた」
「で、あれば、頑張れ」
「ああ、頑張る」
淡々と決めたことを言い、淡々とその言葉に応え、深入りしない。
こう言えば深入りされないことを、メイは理解していた。
深入りされたくないメイの意思を、エヴィデンス01は理解していた。
元は、ELダイバーと異星人が、"人間を理解する"という目的を両者抱えた上で、そのために交流していくような関係だった。
なのに、人間の理解はゆっくりと進み、二人の相互理解だけが劇的に進んでいった。
『人間のことはまだよくわからないこともあるがこの人のことは分かる』という意識を、二人は互いに対し持っている。
「お前を信じていないわけではない。
だがお前を巻き込めない理由が増えた。
お前を引き込んでも、誰にもいいことがない。
今抱えている案件は、私と私の仲間でなんとかしよう」
「できるのか?」
「できるかではない。
やるのだ。
エビには、そうだな……その内、模擬戦の相手でもしてもらおうか?」
「で、あれば、喜んで承ろう」
ひとまずの決着はつき、誰も欠けず、地球は守られた。
だが本格的な事態の決着はついていない。
母星のエヴィデンス01の一族は未だ健在。
メイが負けたという案件は未だ継続中。
地球は先日の衛星砲による地球規模の電気障害のダメージを、未だ復興している最中だ。
戦いはまだ、何も終わっていない。
「何も終わってはいない。で、あるが……」
しかし、エヴィデンス01に不安はない。
戦いは終わっていない。
けれど、彼の心の
再生
(
リライズ
)
は、始まりの一歩を踏み出していたから。
「なんとなる気がしている。メイ、お前の戦いも」
「そうだな。そうであってほしいところだ」
心配なこともあるが、互いに信頼もしている。だから不安はない。
彼/彼女は強いと、信じている。
エヴィデンス01/メイはいざとなれば頼ってくれると信じている。
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/3
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク