ハーメルン
ガンダムビルドダイバーズ Re:TURN:TYPE
『花火』とは何か
13日後にシャフリヤールとガンプラ見せ合いっこ対決。
14日後にオーガとガンプラバトル。
そんな日数の限界が迫る中、メイとエヴィデンス01は夕陽が沈みきる直前の海で、水切り勝負をしていた。
二つの勝負を抱えつつ三つ目の勝負を抱える傲岸不遜なる異星人が投げた石を、メイが投げた石が追い越していく。
「十回跳ねたな。どうだエビ、これが地球の力だ」
「むっ……五回が限度か。で、あるなら、君の勝ちだ」
「ふふん」
拳を握るメイは、地球で二番目に異星人との勝負に勝利した地球の女となった。
一番目はサラ。
「それでどうだ、ガンプラは出来たのか?」
「ううむ……それがな……」
「? どうした。私の問いに全て素直に答えると言っていたくせに、端切れが悪いな」
「どんなガンダムを見ても『現実の私より弱いな』となってしまうんだ」
「斬新な最強厨だな……」
メイがもう一度石を投げると、今度は海面で11回跳ねる。
現実に海でメイのような女性が居れば、男性誰もが振り向くであろう得体ゆえ、色々と揺れているのだが、気にする人間はここに居ない。
ここに居るのは、今は二人だけだ。
「最強厨……私は最強厨か……で、あるか……」
「全てのガンダムを弱いと言い切ってしまうのは最強厨らしいと思うが」
「反省せねばならんな」
「エビはどう反省するんだ」
「そもそも反省とはなんなのだろう……」
「反省とは何か、か……深いな……」
「深いのか、メイ」
「深いんだ、エビ」
「そもそも語り考察すると長引くものをテーマとして深いと言うのは何故なのだろう?」
「何故なんだろうな。私にも分からん」
「興味深い話だ」
「興味も深いのか……」
「色んなものが深いな、メイ」
「そういえば、海も深いのだったな。この地球で一番深いものか」
「深いとは立体的概念だ。
『上』と『下』が『深い』を定義する。
だが宇宙には上も下もない。
『深い』は重力によって上下が定義される惑星上生物の固有概念だ。
それ以外の生物はこの概念を持っていない。
宇宙に進出する過程で『深い』の概念を失った生物もいる。
宇宙を別の言葉に置き換えた生命体もいる。
これもまた、地球の知的生命体が地球で生まれ文化を育てたという証である、と言える」
「なるほど、深いな」
「メイも……深いな」
「お前も深いぞ、エビ」
ぽちゃんぽちゃんと海に石を投げまくる二人に、後方から声がかかった。
「おーい、花火買ってきてやったぞ!」
「早かったなカザミ」
「おうよ。後でMS手持ち用の特大サイズも持って来てやるからな」
メイとエヴィデンス01に駆け寄ってくるのは、カザミという男であった。
メイのフォースメンバーであり、エビとは今日が初対面である。
服装はアメリカンな星をあしらった――アメリカは星条旗の影響で星の意匠の人気が強い――ボディラインが出る、アメリカン・ヒーローらしさのある服に、赤いバンダナ。
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