第0話 後悔
ここは人類を使徒から守る【特務機関NERV】があるジオフロント。地上から装甲板で隔離された空間であったが、第10の使徒の攻撃で穴が空き、その後の初号機の覚醒により装甲板がめくれ上がってしまった。
汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオン初号機。そのパイロット、碇シンジは使徒の中に取り込まれた綾波レイを助け出す事に成功した。だが、世界が滅ぶのを止める事はできなかった。
(皆ごめん・・・・・・僕が、僕がしっかりしていればこんな事には・・・・・・)
助け出したレイを抱きながらシンジは後悔した。
そしてこう思った。
(もしやり直せるのなら、やり直したい。アスカも、綾波も、僕が助けるんだ)
参号機の暴走時に落ち着いて処理していればアスカを助けられたかもしれない。
第10の使徒の時に逃げ出さず出撃していればレイが取り込まれなかったかもしれない。
やり直しを願ったシンジだが、そんなに都合よくいくはずがない。
何もかも諦めかけたその時、1本の槍が初号機を貫いた。
(えっ?)
初号機に何があったのかはすぐにわかったが、痛みは感じなかった。しかし、少しずつだが意識が遠のき始めた。
槍は上から降ってきた。シンジは力を振り絞って上を見る。すると一体のエヴァが降りてくるのが見えるではないか。
「さぁ約束の時だ、碇シンジ君。今度こそ君だけは・・・幸せにしてみせるよ」
(誰・・・・・・?な、んで・・・・・・僕を・・・・・・)
シンジが最後に聞いた言葉は上空のエヴァから発せられた物だったが、それを確認する事なく、シンジの意識はそこで途切れた。
「・・・・・・ん、あれ?ここは?」
目覚めると公園のブランコの椅子に座っていた。もう意識が戻ることはない。そう思っていたシンジにとってありえない現象だった。
そしてシンジはさっきまで抱きかかえていたレイの存在が無いことに気が付く。
最後に聞いた言葉は忘れているようだ。
「そうだ綾波は、綾波!」
「綾波ならいないよ」
急に背後から声がかけられた。
驚いて後ろを向くと――
「え!君は誰だ!」
「君は僕。自分の顔も忘れちゃったの?」
そう。シンジの前に立っていたのは自分と瓜二つの少年。さらに君は僕だと言ったが、信じられなかった。それが本当なら碇シンジが2人いることになる。
ただ、もう1人のシンジは姿は同じだったが、自分より大人っぽいとは感じられた。
「まぁ、それはいいとして・・・・・・こっちの世界でもダメだったんだね」
「こっちの世界?」
「せっかく世界を再構築したのに」
「再構築?どういう事だよ」
こっちの世界。再構築。シンジは訳が分からなかった。それより綾波の事を聞きたかったのだが、先に口を開いた。
「さっきやり直したいっておもったでしょ?」
「うん」
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