第9話 第5の使徒
だがその困る人達は国連にも強い影響を及ぼしている。なので一応、仲良くしておかなければならない。ミサトはひとまず関係者が気が済むまで黙って攻撃させることにした。
しかしそんなに持たないはずだ。
そうミサトが思っていると、オペレーター席に電子音が鳴った。
「日本政府からエヴァンゲリオンの出動要請が来ています」
早速シゲルから報告が入る。
「うるさい奴らね〜。言われなくても出撃させるわよ。初号機移動開始。レイは予備として待機させておいて」
腕を組んで立っていたミサトは、低い声で愚痴をこぼす。
その頃シェルターでは――
『小中学生は各クラス、住民の方々は指定された各ブロックごとにお集まりください。第7管区迷子センターは、第373市営団に設置してあります』
避難所に集まった住民の中にトウジとケンスケの姿があった。ケンスケは持っていたビデオカメラでテレビから情報を得ようとするが、非常事態宣言発令中の画面に切り替わったままでうんざりしていた。
本日午後12時30分、日本国政府より特別非常事態宣言が発令されました。新しい情報が入り次第お伝えいたします。
と、画面には映し出されている。
「うぅっ、まただ!」
ケンスケはビデオカメラに付いた小さなモニターをトウジに向けて見せる。
「なんや、文字だけなんか?」
「見ろよ、報道管制って奴さ。僕ら民間人には見せてくれないんだよ!こんなビッグイベントなのに!」
別にビッグイベントではないのだが。
というか負けたら人類滅亡という最悪の結末が待っている。最終手段として、NERV本部や第三新東京市を巻き添えとした自爆攻撃も用意されているが、もちろん一般市民は何も知らない。
いや、知らない方がいい事もあるのだろう。
ケンスケはアンテナを伸ばしてあちこちに向けているが、やはり何も映らない。ハッキングという手段も彼の頭に浮かんだが、それを行うための機材がないし、第1そんな事をしていたら怪しまれる。
「な、なぁトウジ?」
「あかんで」
「え?」
意を決してトウジに話しかけるが、内容を言ってもないのに拒否される。
「ケンスケの考えている事くらいわかるわい。シンジの言うてた事忘れたんか?」
「で、でも」
「実物を見せるって約束してもらったやろ?それでええやないか」
ケンスケの頭の中に学校で3人で話した内容が浮かぶ。確かに自分達がいてはシンジは戦いづらいだろう。そして互いの命も危うい。
自分の欲を取るか、自分達の命を取るか、選択肢は2つに1つだ。
そしてケンスケには前者を取るという非情な真似はできなかった。
「わかったよ。大人しくしてる」
「せやせや。シンジが帰ってきたら色々聞いたらええ!」
「しーっ!」
「あ、スマン委員長」
トウジとケンスケがわいわいやってる一方、シンジは初号機の中にいた。時々聞こえてくるオペレーターの声から察するに、既に使徒は第3新東京市の上空にいるらしい。
『シンジ君出撃よ。いいわね?』
エントリープラグ内でぽけーっとした顔をするシンジの元へミサトからの通信が入る。
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