第11話 第6の使徒
怪我も治り、訓練も順調に進んでいたシンジは学校へ来ていた。
元々学校へは行くはずだったのだが、やはりいつ来るかわからない使徒に対してはそのスケジュールが狂ってしまう。使徒戦後も色々と検査しなければならないのだ。なので学校に来たのは10日ぶりだった。
しかし、怪我や使徒以外の出来事がシンジを襲う。
(いたた・・・・・・まさか筋肉痛に悩まされるなんてなぁ)
NERVへ所属してから約1ヶ月が経ち、シンジはようやく新しい暮らしにも慣れてきた。ほぼ毎日のように訓練や筋トレに励み、細く柔らかかった腕も少しだが脂肪が落ちてきたと思う。身長も成長期らしく伸び始め、体重も少しずつ増えてきている。
だがその度に筋肉痛や成長痛に悩まされるとなるとさすがに嫌になってくる。使徒に攻撃されて苦痛を味わうよりはましなのだろうが・・・・・・。
勉学もなんとか追いつけるようになり、これなら問題はないと思われた。
再び訓練を再開し、教官の坂本に対して何発か攻撃を入れられるようになってから1週間後、第3新東京市上空に巨大な飛行物体が現れた。
まるで著名な者が作った彫刻のように正確な正八面体をしたその形状は、ゆっくりとジオフロントがある方へと近づいて行く。発令所では【分析パターン:青】を確認し、第6使徒として認定していた。
『監視対象物は、小田原防衛線に侵入』
『未確認飛行物体の分析を完了。パターン青。使徒と確認』
オペレーター達が報告する中、そこへゲンドウと冬月がブリッジに乗って上がってくる。
「やはり、第6の使徒だな」
冬月が言う。
「ああ。初号機を出撃させる」
ゲンドウは、そう言って指で眼鏡を上げる。
だが――
「待ってください!」
「葛城二佐?」
「敵の能力が不明のまま出撃させるのは危険です。威力偵察を進言します」
これはミサトが考えた案でもあった。
これまでの2体の使徒は、その形状や事前攻撃で攻撃方法が確認できた。しかし今回の使徒は全く予想できない。物理攻撃なのかレーザー攻撃なのか、近接戦なのか遠距離戦なのか、何も知らないのはまずい。パイロットを失ったら元も子もないのだ。
発令所の職員はミサトの発言に驚いていた。彼女の性格を表わすのなら【猪突猛進】。
とりあえずやってみるか。というのがミサトだった。しかし、今回は作戦課長という肩書きが似合うような発言をしていた。
司令台のゲンドウと冬月もミサトの意見具申に内心驚いていたが、表情には出していなかった。
「目標は芦ノ湖上空へ侵入!」
シゲルが状況を伝える。
時間がない。判断が迫られる。
「よかろう。やりたまえ」
「ありがとうございます」
ミサトは一礼すると正面に向き直る。
「それでは威力偵察開始!列車砲用意!」
「第1、第2列車砲を出します」
マコトが現場要員に指示を出すと、トンネルから列車砲が出撃する。
「諸元入力よし!」
「発射!」
列車砲から砲弾が発射された。
その光景は格納庫にいるシンジにも見えていた。
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