ハーメルン
碇シンジはやり直したい
第14話 勝利の余韻


 祝賀会は2時間ほど続き、担任が終了を宣言したところでお開きとなった。
 帰りはレイと一緒にスーパーで買い物をした。約束通り、ミサトの家で食事会を開くのだ。

「ただいまー」

「おかえりシンジ君。レイもいらっしゃい」

「お邪魔します」

 初めてだからか、レイはミサトの家にキョロキョロしながら入る。一応前日に掃除をしておいた。ちょっと目を離すとすぐ汚くなるこの家は、定期的に掃除しなければ生きていけない(家主以外)のだ。

「今日のご飯は何?」

「豆腐をメインにしようかと思います。綾波がお肉食べれないので」

「オッケー」

 台所に向かったシンジは、スーパーの袋から豆腐や野菜を取り出して切る、切る、切る。
 その時ミサトは2本目のビールを開け、レイはテーブルの椅子に座りながらシンジを見ていた。

 ちなみにシンジはまだ食事のメニューのレパートリーは増やしていないため、作れるものは限られる。そのため、今日は野菜と豆腐を入れたうどんを夕食とした。
 うどんを茹でている最中は別の料理を作っていた。簡単な豆腐料理をいくつか作り、シンジとミサト用に鶏肉を蒸した料理を作った。

 料理を作り終わると、ミサトがテーブルに次々に料理を並べ、普段めったに埋まらないテーブルの上は皿で埋め尽くされた。

「「「いただきます」」」

 3人はようやくできた料理にありついた。
 ミサトは何本目かわからないビールをあおり、レイは豆腐をちまちまと食べ、シンジは真剣な顔で料理を採点していた。

「さぁーて。改めて2人とも、よく頑張ったわね」

「はい。ありがとうございます」

「シンジ君、ありがとね。レイもよくシンジ君を守ってくれたわ」

「いえ、碇君がATフィールドを張っていてくれたので」

「ふうん。シンジ君がねぇ」

 ビール片手に顎をもう片方の手に乗せニヤニヤとシンジを見るミサト。

「な、なんですか?」

「シンジ君はレイの王子様ってことね」

「そっ、そんなこと」

 慌てるシンジ。いくら前回の経験があっても、こういった浮いた話についてはまるで耐性がない。というかそんな事をしてる暇はなかったのだ。

 14歳の中学生らしい反応に、ミサトはますます調子づく。

「ふっふっふ。よかったわねー、レイ」

「・・・・・・?」

 レイは意味わからんといった顔でシンジとミサトを見つめた。だが、シンジに対して何かしら自分に変化があったのは気がついていた。

(何?この感情。碇君といると身体が暖かくなる)

 しかしそれに気がつくのはまだ先の話。
 この日は食後もミサトがベロベロに酔っ払うまで3人で話し、ミサトがテーブルに突っ伏すと、そろそろお開きにしようか、とシンジとレイは外に出た。

 ここから綾波の住んでる場所までは意外と距離があり、いくら保安部の護衛がいてもこんな夜に1人じゃ危険だ。シンジは途中まで送っていく事にした。

「別に大丈夫よ」

 と、レイは言ったが、シンジは無理矢理送っていった。
 2人に会話は無かったが、丁度半分の距離に来た時、レイはくるりとシンジに向き直った。

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