ハーメルン
碇シンジはやり直したい
第1話 再スタート





『現在、特別非常事態宣言発令中のため、全ての回線は使用不可となっております』



「・・・・・・はっ!」

 謎の公園で祈っていたシンジは、気が付くと公衆電話の受話器を耳に当てていた。

 慌てて辺りを見渡してみると人っ子一人いない。というかそれ以前に壊滅していたはずの街が元の姿になっているではないか。

 自動で切れて黙ってしまった受話器を元の場所に戻し、シンジは自分の状態を確認した。身に付けている学生服に足元にはボストンバッグ。右手にはミサトの写真が握られていた。

「この写真は・・・・・・もしかして!」

 シンジは自分がネルフに向かう前の時間に戻ってきたのだとわかった。

(戻ってこれたんだ・・・・・・ってことはこの後は!)

 そう思った瞬間、シンジを爆音が襲う。そして同時に山の方向から大きな足音のような音も聞こえた。

 まさかと思いその方向に振り向くと、殲滅したはずの第4の使徒が現れたではないか。
 そして使徒を囲むようにして移動する戦略自衛隊の10数機のVTOL攻撃機が、使徒に向けてミサイルを発射した。
 ミサイルは全弾命中。その衝撃波や爆煙で付近の電車や車は消し飛ばされたが、使徒には全く通用していない。

 今度は逆に使徒が光の槍のような物で近くにいた攻撃機を貫いた。
 すると制御が効かなくなり、機体はシンジがいるすぐそこに墜落する。さらにそれを追撃するかのように、使徒は頭の上に光の輪を出現させ、1度飛んでから墜落した機体を踏み潰した。
 電柱の影に避難しようと思ったシンジだが、爆発がおきる寸前で青いルノーが爆風からシンジを守った。

「ごめーん!お待たせっ!」

 ドアを開いて姿を見せるミサト。変わらない姿だ。

「ミ―」

 ミサトさん!
 と叫びたくなったシンジだが、この時はまだシンジはミサトを名前で呼んでいない。時間が戻ったとはいえ、不審に思われないためそこは注意しなければならない。なので慌てて口を閉じた。

 そしてシンジは急いで車の中に飛び込み、荷物を後部座席に放り投げた。

 上空では攻撃機が使徒に向けて両翼のロケットポッドからロケット弾を発射した。
 もちろん効果なし。
 破片と爆風が降り注ぐ中、ミサトはギアをバックに入れ、反転してから即座に戦場を離脱した。

 その頃NERV第1発令所では、国連軍の幹部達が攻撃が全く効いていない使徒を睨みつけていた。

「目標は依然侵攻中。やはり第3新東京市へ向かってきます」

「航空隊の戦力では足止めできません」

 オペレーター達は状況を報告する。

「総力戦だ!後方の第4師団を全て投入しろ!」

「出し惜しみはするな!なんとしてでも奴を潰せ!」

 幹部達の指示でロケット弾と大型ミサイルの雨が使徒に浴びせられる。
 しかし、至近距離で爆発したにも関わらず、使徒は無傷のままだった。

「何故だ!直撃したはずだぞ!」

 1人の幹部が思いっきり机を叩く。

「戦車大隊は壊滅。ミサイルも砲爆撃も全く受け付けないとは・・・・・・」

 もう1人の幹部は腕を組んで椅子の背もたれに身体を預けた。

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