ハーメルン
碇シンジはやり直したい
第26話 不法入国者




 ある日、久しぶりに学校へ来ていたシンジは1人屋上で昼寝をしていた。今日はレイがNERVへ、アスカがなんだか知らないけど体調不良で休み。トウジとケンスケは昼食争奪戦で購買に行っていたため、シンジは1人で昼食を食べていた。

 しばらく空を眺めていると、飛行機が通り過ぎた後に小さい点のような物が落ちてくるのが見える。その点は少しずつ大きくなり、シンジはそれがパラシュートであるとわかった。

(あれ?確か・・・・・・)

 シンジは前回もこんな事があったのを思い出す。

「どいてどいてぇー!」

 屋上へ落下してきた少女。シンジは素早く彼女を避けた。反射神経も良くなってきているため、これくらい朝飯前だ。

 また、シンジは知らなかったが、降りてきた少女は真希波・マリ・イラストリアスという。5号機のパイロットだった者だ。
 マリは5点着地で無事に着地したが完全には勢いを殺しきれず、メガネが吹っ飛んでしまった。

「いてて・・・・・・あれ見えない。メガネメガネっと・・・・・・」

 四つん這いになってメガネを探すマリ。シンジはスカートの中を見ないように目を背ける。
 ようやくメガネを見つけたマリは、制服の汚れを払いながら立ち上がった。見慣れない制服だ。

「ごめんね。大丈夫だった?」

「は、はい大丈夫です」

 シンジに近づくマリ。身長はマリの方が高く、制服のデザインから見るに高校生なのだろう。
 しかしなぜパラシュートで降下を?
 予想外の出来事にシンジは唖然てしていた。

 すると突然マリがシンジの首元に顔を近づけ、臭いを嗅いだ。

「えっ!?」

「君、いい匂いがするね。L.C.Lの匂い」

「なっ!」

 L.C.Lと聞いてシンジは後ろに下がり警戒するような目でマリを見た。NERV以外の人間がL.C.Lという言葉を知っているのはおかしいからだ。普通の人間が知ることはまずない。まぁパラシュートで降りてきた少女が普通の人間であるとは思えないが。

「警戒しなくてもいいよ」

「でもあな――」

 シンジが問いただそうすると、チャイムが鳴る。昼休みが終わってしまった。

「ほら行って。私の事は誰にも言っちゃダメだよ。NERVのワンコ君」

「そのつもりですよ」

 言っても信じて貰えそうにない。ミサトやリツコに言えば怪しんでもらえそうだが、不思議とシンジはマリの事をバラそうとは思わなかった。

 シンジはマリの声を学校以外のどこかで聞いたような気がした。それはサードインパクトが起きた世界ではなく、シンジが前回いた世界。でも思い出せなかった。
 実は第10の使徒戦の時、2号機に乗っていたのがマリだ。しかしあの時はそれどころではなかったため、記憶に残らなかったようだ。

 また、シンジを見送ったマリは、バックパックの中から携帯を取り出し、パラシュートを片付けながら電話をかけた。

「あ、もしもし?」

『どうした。目的の場所にはいないようだが』

 電話の相手は男のようだ。

「ごめん。風に流された」

『誰にも見つかってないだろうな?』

「エヴァパイロットと話した。でも大丈夫。彼は誰にも話さないだろうから」

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