第2話 特務機関NERV
ゲンドウに指揮権が渡る少し前、幹部達が本部と連絡をとっている頃、シンジとミサトはNERV行きの貨物列車に車ごと乗っていた。
下へ行くアナウンスが流れると、重い扉が自動で閉まる。対戦車ミサイルでも持ってこない限り破られないだろう。
「ねぇシンジ君。お父さんの仕事って知ってる?」
ミサトはハンドルに両手を乗せてシンジの方をチラッと見た。
「NERVという場所で働いていると聞きました」
「そうよ。NERVは国連直属の非公開組織なの。知らないのも無理ないわ」
「・・・・・・やっぱり父のとこに行くんですか?」
前はどんな事を自分で言っていたかを思い出し、シンジはなんとかミサトと会話を続けた。この時はまだNERVの事を何も知らないため、下手に会話ができないのだ。
ちなみに、シンジは父親であるゲンドウにこだわるのを止めている。両者ともただ不器用だっただけ。それにゲンドウはユイに会いたいがために何もかも犠牲にしてきた。今まで拒絶してきたが、こちらから歩み寄ればなんらかの反応があるはずだ。
「ええ。確かID貰ってるはずなんだけど、持ってない?」
「ええっと、これです」
シンジはバックの中を漁ってIDカードを取り出した。ちなみにそのIDは紙にクリップで止められており、その紙にはゲンドウの字でただ一言
『来い』
と書かれていた。
ここはやり直す前と何も変わっていない。
ミサトにカードを手渡すと、『ようこそNERVへ』という分厚いパンフ(?)を渡された。
前はあんまり読んでいなかったが、2回目となると少し余裕もあるのでシンジはパンフを開いた。
数分後、シンジは外が明るくなるのを感じてパンフから外に目を向けた。
「すごい・・・・・・」
シンジの目に入ってきたのは緑豊かなジオフロント。まだ第10の使徒の侵攻を受けていない綺麗な状態だ。森があり、湖があり、天井からはビル群が突き出していた。
改めて見る平和なジオフロントに、シンジはここを守るという覚悟が自分の心に芽生えたのを感じた。
「でしょ?ここが私達の基地。NERV本部よ。そして人類の希望でもあり、最後の砦でもある。外のデカブツ・・・・・・使徒から守るの」
ミサトはいかにここが大事かシンジに説明した。もちろんシンジはそんな事耳が痛くなるほど聞いてきたのでわかっている。
貨物列車が到着し、駐車場に車を停めてエレベーターに乗り、再び地下に降りていく。地下8階を過ぎた頃、チンと音を立てて止まったエレベーターに1人の女性が乗り込んできた。
「あ、あらリツコじゃない」
「到着時刻を12分オーバー。全く・・・・・・葛城二佐、私達には時間がないのよ?」
「ごめん!」
その女性は毅然とした態度でミサトに接する。数回のやり取りの後(ミサトが謝ってただけ)、リツコという白衣を来た女性はシンジに向き直った。
「で?この子?」
「そっ」
「私は特務機関NERVの技術局第一課・E計画担当責任者、赤木リツコ。よろしくね」
「はい。こちらこそ」
パラパラと資料の大事な部分だけを読んでいたシンジは一旦視線をリツコに向け、その目をしっかり見て挨拶をした。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/3
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク