第3話 初陣
「なんですって!?」
マヤの報告にリツコは一瞬自分の耳を疑った。
「ですから85%です!ハーモニクスは正常値。暴走もありません!」
「プラグスーツ無しなのに?すごいわ」
「いけるわね!発進準備!」
ミサトの命令で、初号機が体を沈めていた液体が結構な速さで抜かれていく。
「第1ロックボルト解除」
「アンビリカルブリッジ移動します」
さっきまでシンジ達がいた橋がモーターの回転音と共に横移動を始める。
「第2ロックボルト解除」
「エヴァンゲリオン固定具解除」
「エヴァンゲリオン初号機、現在フリーです」
初号機の肩から肘にかけて固定していた壁のような器具は外され、初号機の全身が露になる。
シンジは身体を押さえ付けるような感覚から解放された。
「外部電源充電完了」
「初号機、射出口へ!」
初号機を乗せた台がゆっくりと移動して行く。
「葛城二佐。使徒は現在Dブロックを通過中」
「なら合わせるわよ!射出口の出口を使徒の近くへ!」
「了解!」
ミサトの指示で使徒の近くにある射出口に至るまでのコースが形成され、扉が開いていった。
「進路形成完了。及び初号機が射出ハブターミナルに到着」
「発進準備完了!いけます!」
「司令。本当にいいんですね?」
ミサトはゲンドウに最終の確認を取る。
「かまわん。やれ」
ゲンドウは机に肘を付いて顔の前で手を組み、落ち着き払った態度で答えた。
そしてミサトはモニターへ向かい直すと大声で号令をかけた。
「発進!」
ミサトの号令がかかると、射出口の中を急上昇で通り抜ける初号機。エントリープラグの中にいるシンジは、上昇スピードによって発生した強烈なGに耐えていた。
十数秒後、使徒が市街地の大きな道路へ歩み出たところで道路に隠されている射出ゲートが開き、初号機が地上に姿を現した。同時に第4の使徒も異変に気づき歩みを止める。
『シンジ君!まずは歩いてみて!』
『歩く事だけを考えるのよ。余計な考えは捨てなさい』
「はい」
シンジが意識を集中させると、初号機はその第1歩を踏み出した。
発令所は歓喜の声に包まれた。
さて、一方シンジは目の前の使徒をどう倒そうかと考えていた。前回は暴走して倒したらしく、あまり記憶に残っていない。覚えているのは頭を攻撃された所までだ。
とりあえずプログレッシブナイフで攻撃してみようかと思い、一応ミサトにナイフの収納場所を聞こうとした瞬間、使徒の後方に何かいるのがチラッと見えた。意識を集中させてよく見ると、小さな女の子がこちらを見て震えているではないか。
(あれ?あの子もしかしてトウジの!?)
シンジは転校してからトウジに殴られた原因を思い出した。あの時は使徒との戦闘でトウジの妹が怪我をしてしまったのだ。
その事に気が付いたシンジは慌てて発令所に話しかける。
「ミサトさん!使徒がいる場所から数ブロック後ろの建物に小さな子供が!」
『なんですって!?』
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