ハーメルン
碇シンジはやり直したい
第4話 知ってる天井




 暗く何もない空間に浮かび上がる7つのモノリス。ゲンドウはゼーレの会合にて、円を描くようにして並んだそれらのモノリスに囲まれていた。

「第4の使徒襲来とその殲滅、そして3番目の子供の回収、及びエヴァ初号機の初起動。ここまでは予定通りだな」

 モノリスに刻まれた番号01、キールが現状を口に出す。

「第3新東京市の修理費は予定外だがね」

「凍結された零号機と比べれば・・・・・・まぁさして問題ではあるまい」

「その通り。初号機も軽傷ですんだらしいではないか」

「軽傷なのはパイロットだろう?初号機は大火傷だ」

 ゲンドウは手を組んで座り、ゼーレらの声を無言で聞いていた。

「して、君の息子・・・・・・碇シンジと言ったか?」

「は・・・・・・?」

 キールの予想外な質問にゲンドウは間抜けな声を上げる。

「使徒殲滅の映像は観た。発令所からの指示があったとはいえ・・・・・・少し出来すぎではないかね?」

「確かに。初陣で初めてエヴァンゲリオンに乗ったにしては上手く戦っていた」

「碇。何か知ってるのかね?」

「わかりません」

 ゲンドウもシンジの戦いぶりを見て同じような感想を抱いたが、計画に支障なしと判断して気にもしていない。

 そんな落ち着いた様子にキール達も深くは追求しなかった。

「まぁよい。次の第5の使徒が出現した時も役立てばな」

 キールが今回の件について言及する。

「ご心配なく。初号機の実戦配備に続き、弐号機とそのパイロットも現在ドイツにて試験中です」

 そうゲンドウは答える。

「よろしい。では参号機以降の建造も計画通りにやりたまえ」

「NERVとエヴァの適切な運用は君の責務だ。くれぐれも失望させぬように」

「左様。使徒殲滅はリリスとの契約のごく一部に過ぎんのだ。人類補完計画・・・・・・その遂行こそが我々の究極の願いだ」

 モノリスから発せられる一通りの意見を聞いたゲンドウは、落ち着いた態度でそれに答える。

「分かっております。全てはゼーレのシナリオ通りに」




 その頃、調査のために使徒との戦闘現場に来ていたマヤは、自分と同じ防護服に身を包んだミサトに報告を入れていた。

「エヴァ初号機の回収作業は終了しました。現在第6ケイジにて待機中。本日午前10時より修理開始の予定です」

「初号機内の記録は?特にATフィールドの部分」

 ミサトは双眼鏡で使徒の爆心地を眺めながらマヤに話しかける。爆心地から数百mのところは真っ赤に染まり、衝撃波で家やビルが倒れている。

「記録に異常はありません。暴走した形跡もありませんでした」

 マヤはタブレット端末を片手に持ってデータを参照する。

「暴走ではない。だとしたらシンジ君が自分の意思で操縦していたってことか」

「やはり本人に聴取する必要があるわね」

 双眼鏡を下ろしたミサトは怪訝な表情を浮かべる。リツコも同様だった。

「しっかし・・・・・・・・・」

「「?」」

「すんごい光景ね。まさかここまで爆発するなんて」

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