第6話 研究室
ミサトの家で歓迎会をやった翌日、シンジはリツコの研究室に訪れていた。理由はもちろん初号機の件について。
正直それだけの話で終わるとは思っておらず、何かしらの追及はあるとシンジは思っている。
「さて碇シンジ君」
「はい」
「これからいくつかの質問をするわよ。まず、初回からシンクロ率が高かったのはなぜかしら?」
「なぜ?あんなものじゃないんですか?」
シンジはとぼけた表情でリツコを見る。
「初回は40%もシンクロしていればすごい方なのよ。でもあなたはその倍以上。不思議がらない方がおかしいわ」
エヴァンゲリオンは未だNERVにとって完全には理解できておらず、パイロットに頼っている部分もある。特にシンクロ率は補助としてプラグスーツを開発しただけだった。
なので最初のシンクロ率は50%もいかないはずなのだ。
だがシンジは軽々と初号機を操り、ATフィールドも発生させ、使徒を殲滅した。普通はありえない話だ。
「実は乗っている時・・・・・・母さんがいるような気がしたんです。だから身を委ねたら上手くできました」
なんとか誤魔化すため、シンジは頑張って説明する。
「っ!?」
「赤木さん?」
「なんでもないわ。じゃあ次にいくわよ」
明らかに様子がおかしいリツコ。
そう。彼女はシンジが初号機に母親・ユイの存在を感じた事にびっくりしているのだ。
リツコは初号機の実験でユイが取り込まれたのを見たわけではないが、ゲンドウや亡き母ナオコから聞いたり、1部の者しか見れない資料を読んで知ったのだ。そもそもE計画の中核として知らないはずがない。
実験当日、シンジはあの場所にいた。だが取り込まれた時の記憶は彼から取り除かれているはず。それなのに初号機の中でユイの存在を感じているシンジに驚きを隠せない。
しかし真実を知らないシンジ(実は知っている)にそれを教えるわけにはいかず、強引に次の質問に移った。
「ATフィールドを使えたのはなぜかしら?それも偶然には思えない。しかもナイフに纏わせていたわね?」
「それは・・・・・・」
少し厳しい質問だ。
サードインパクトが起きた世界のシンジの記憶から、ATフィールドは心の壁、つまり他者を拒絶し自らを守るためのバリアと認識している。
しかしその存在を14歳の少年が知るはずもなく、なぜ攻撃に使ったのかが疑問なのだろう。
「通常兵器が効かないほどの強度ならそれを纏わせればいいんじゃないかと思ったんです」
少々苦しい答えだが、シンジにはこれ以上の返答は思いつかない。
「・・・ふぅん。一応説明しておくけど、ATフィールドは破壊できないの。同じATフィールドを持つ者だけが中和、無力化できるのよ」
リツコは言う。
「はぁ。じゃ、今回の戦闘は偶然ってことにしておくわ。今回はね」
なんと、偶然ということになってしまった。もちろん完全に納得したわけでは無さそうだ。その証拠に疑っている姿勢は崩していない。
「それじゃ碇シンジ君。パイロットの君からしてこれからどうなると思う?」
「え?」
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