第8話 訓練と訓練と訓練
訓練を初めて2週間。
シンジは1週間の内、月・火・水(水曜は午前だけ)曜日に学校へ行き、水曜の午後から土曜まではNERVで訓練を行っていた。
初めの1週間は筋肉痛に悩まされ、学校でトウジやケンスケに心配されながらも勉学に励み、翌週は身体が少しだけ慣れてきたのか、先週よりも筋肉痛は酷くならなかった。
今日は土曜日なので、朝からNERVで訓練三昧だ。
トレーニングルームに入ると、戦略自衛隊の坂本二尉が準備運動をして待っていた。
「坂本二尉」
「お、碇特務一尉。おはよう」
「おはようございます」
「今日から自衛隊式格闘術を軽く行う。時間がないから一通り君に型だけでも覚えてもらいたい」
「はい!」
シンジと坂本は向かい合うと、格闘術の訓練に入った。
自衛隊式格闘術とは、自衛官の白兵戦・徒手格闘戦の戦技として編み出された格闘術であり、徒手格闘・銃剣格闘・短剣格闘からなる。現在自衛隊は国連軍に吸収されてしまったが、その基礎などは戦略自衛隊にも受け継がれている。
トレーニングルームの壁にはNERVが用意した銃剣道用の木銃やゴムのナイフが置かれており、本格的に訓練をするのだとシンジは悟る。だがアスカに比べればまだまだ。短期間で強くなるためには多少の怪我は負う覚悟がいるだろう。
それから昼休憩と筋トレを挟んで4時間近く訓練を続けたシンジ。身体はボロボロで、起き上がるだけでも精一杯だ。
(あれ?軽くって言ってたよね?)
「よし、これくらいだな・・・・・・って大丈夫か?」
「大丈夫じゃないですよぉ」
シンジはよろよろと立ち上がる。
徒手格闘で叩きのめされ、木銃で肩や足を突かれたシンジの体力はとっくにゼロ。怪我をしにくいと思っていたゴムナイフも、ナイフを手から落とされ身体を床に叩きつけられてしまった。
「やりすぎたわ。すまん」
「いいんです。僕も望んでやったんですから」
「そうか。じゃあ今日はここまで!」
「はい。ありがとうございました」
坂本と別れたシンジは自分のロッカールームへ向かった。
すると――
「やっほーシンジ君」
「ミサトさん?」
ロッカールームの前にミサトが待っていた。
「パイロットのプラグスーツが出来たわ。テストもかねてシミュレーション訓練を1時間くらいしたいのだけど、大丈夫?」
「えっと・・・・・・」
シンジは考えた。
現在の時刻は14時30分。シミュレーションはおそらく前にもやったライフルの訓練だろう。あの時は訓練以外にも準備などで時間がかかったので、今回も1時間ではすまなそうだ。
もちろんやりたいのだが体力にも限界があるし、シンジは休みたかった。
「少し休ませてくれませんか?身体が痛くて」
「いいわ。ごめんね、時間がないもんでさ」
「いつ来るかわからない敵なんですからしょうがないですよ」
「ホントにゴメン。今日の夕飯はお肉にしていいからね」
そう言ったミサトは諭吉を2枚取り出してシンジに渡した。
現在葛城家において、料理・洗濯・掃除・ごみ捨て全てシンジがこなしている。しかし、最近は訓練を本格的にやり始めたので掃除が出来ない日もある。その場合葛城家はゴミが積み上がるのだが、こればっかりはどうしようもない。
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