ハーメルン
TSレッドは配信者
「少女と石とロケットと」 Part.3

「たのんだよ、ピカチュウ」

 レッドがボールの中へささやき、ピカチュウを繰り出す。

「ピカッ」

 ピカチュウもいつになく真剣な様子で、ちいさな体を震わせながら電気をため、全身にほどよい緊張と興奮をほとばしらせていた。
 
 場に出たばかりのピカチュウとイワークはほとんど消耗しておらず、コンディションでいえば互角。
 タイプ相性ではイワークがおおきく有利。
 
 正々堂々、一騎打ち。

 ことここまでくれば、どれだけポケモンを育成したか、トレーナーはどれだけうまく指示を出せるかで勝敗が決まる。
 道具やアイテムの小細工はきかない。

 タケシは相性にまかせておそいかかることはせず、まずはレッドの出方をみているようだ。
 わざわざいわタイプのジムにくさポケモンとでんきポケモンだけで挑戦してきたのが気になっているのだろう。

(どうしようかな?)

 レッドが無意識のうちに額に手をやり帽子にふれた。
 見た目のわりにイワークはすばやく、リーチもながい。
 それにとてもパワフルだ、これでじめん技を出されたらでんきタイプのピカチュウはひとたまりもない。

(〝アイアンテール〟でどこまでいける?)

 はがね技ならイワークの弱点を突けるけれど、この技は命中率もひくく、非力なピカチュウでは一撃でたおしきることはむずかしいだろう。

 けれども、まずは。

「〝かげぶんしん〟」

 補助技をつむ。
 相手の一撃でたおされる可能性があり、こちらは何度もこうげきしなければいけないなら、回避率を高めていくことも重要だろう。

 ヴ、とピカチュウの輪郭がぶれはじめ、何匹もの分身が四方に散る。

 一目散に逃げるピカチュウが二匹。
 すぐそばの岩に隠れたままでてこないピカチュウが一匹。

 足取りもおぼつかない様子でうろちょろとせわしなく動いているのが、本体のピカチュウ。
 いかにも分身の作り方を間違えたようであるけれど、それはフェイント。

「イワーク、〝ロックカット〟!」

 岩石の体からよけいな凸凹を削り、空気抵抗をへらす。
 すばやくなったということは、それだけ〝ロケットずつき〟の威力も増す。
 
 次で仕留めきるための布石だ。
 それをピカチュウがどこまでしのいで、〝アイアンテール〟を当てられるか、問題はそこにある。

 けれど。

「〝ロケットずつき〟だ!」

 それを簡単にゆるすほど、ジムリーダーは甘くない。

「GOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」

 爆発音と錯覚するイワークの大喝がとどろく。
 レッドもおもわず体をすくませるほどの大音量が響きわたり、イワークの巨体が突撃。

「ピカ、ァ」

 咆哮でおどろいたピカチュウの〝かげぶんしん〟が消え、千鳥足の本体があらわになった。
 ピカチュウめがけて、いわへびポケモンが一直線に跳ぶ。

 すかさずピカチュウが岩に逃れようとするが、間に合うかどうか。
 
 イワークは自分がだしうる最高速度で最短の直線距離をつめ、衝突。


[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/6

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析